2012 Fiscal Year Research-status Report
新化合物ジクロロアセチルカルニチンの虚血後再灌流臓器障害抑制効果の検討
Project/Area Number |
24659501
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
糸井 利幸 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10264780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
問山 健太郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00433285)
岡 達二郎 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (80433283)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | dichloroacetate / carnitine / reperfusion injury / myocardium |
Research Abstract |
【研究目的】ブドウ糖酸化亢進作用を有するDichloroacetate (DCA)は心筋虚血後再灌流障害や肺高血圧を抑制することが知られている。脂肪酸酸化に必須のacetyl-l-carnitineは細胞膜の脂質過酸化抑制作用を有する。本研究はそれぞれの薬理作用を同時に発揮することが期待される化合物dichloroacetyl-l-carnitineを新たに合成し、抗酸化作用を有する臓器保護薬としての可能性を検討することである。平成24年度の研究項目は①本化合物の安定性の検討、②生物学的等価置換基を用いた構造改変による安定性を向上させた化合物の作成であった。 【研究結果】dichloroacetate にl-carnitineを加えた後dichloroacetyl chlorideを滴下して反応させてガラス状のdichloroacetyl-l-carnitineを得た。このガラス状物質の溶液内の半減期は1~2時間であり、ガラス状の化合物はさらに硬度を増して、実験に供することは困難であった。次にdichloroacetate-l-carnitineの塩酸塩ならびに硫酸塩を合成した。ともに粉末状の物質を作成することができたが、やはり吸湿性が高く、空気中では粉末からペースト状に変化し虚血後再灌流に対する有効性の検討はできなかった。ester結合が、L-carnitineの酸、すなわち-COOHの存在で加水分解しやすいと推定し、現在、新化合物のester結合をより強固なamide結合への変換を試みている。ester結合とamide結合は生物学的等価置換基であり、薬理学的活性自体は変化せず化合物の安定化が期待される。達成目標は溶液内で90%以上の化合物濃度が1か月以上保持されることとする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
まずガラス状のdichloroacetyl-l-carnitineの合成は達成し、その溶液内の半減期は想定した通り数時間と極めて短時間であった。次に当初計画の生物学的等価置換基を用いた構造変革を試みる前に、dichloroacetate-l-carnitineの塩酸塩ならびに硫酸塩を合成しその安定性の検証を試みた。製作は容易であるので安定であれば極めて有用と考えた。ともに粉末状の物質を作成することに成功したが、やはり吸湿性が高く、空気中では粉末からペースト状に変化した。そこで、ester結合が、L-carnitineの酸、すなわち-COOHの存在で加水分解しやすいと推定し、当初の予定に従って新化合物のester結合をより強固なamide結合への変換を試みた。このamide結合体の合成はほぼ完成しているが、上述のとおり当初予定外に塩酸塩、硫酸塩の合成と検証を行ったので、当初計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、前年度に引き続いてamide結合体の安定性検証を行う。実験に供する程度に安定でなければ、生物学的等価置換基の観点から、arbosylic acidをphosphonate、sulphonateに置換する方法、あるいはClをフッ素(F)、あるはホウ素(Br)に置換することも検討する。 amide結合体の安定性が実験に供するに十分であれば、チアノーゼ性先天性心疾患ラットモデルを作成し、摘出した心臓を用いた心臓灌流システムで虚血後再灌流障害に対する保護効果を検討する。その際、l-carnitine、dicholoroacetate単独投与を対照として薬理効果の違いを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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