2012 Fiscal Year Research-status Report
放射光X線によるウィルソン病の高精度イメージング診断
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24659503
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
松浦 晃洋 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (70157238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杵渕 幸 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (30244346)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 放射光 / 微量元素 / 銅 / 組織 / 病理診断 / 発症機序 |
Research Abstract |
放射光を医学小児科領域の疾患の診断と病態解明に応用することを目的とし、応用に必要な技術開発およびその疾患解析を行う。比較的多い遺伝性銅代謝異常ウィルソン病を対象として測定解析システムを構築した。具体的には、組織切片内における銅を高感度で定量的に画像化する測定系を確立し生検試料を用い診断確定をサポートする。ビームラインの基本構造は蓄積リングから発生させた入射光を単色化しさらに光学素子を用いて試料測定ポイントにおけるビームサイズを絞り込んだ。入射X線のエネルギーは銅の検出に適した条件を選択した。焦点を絞りやすい光学素子により、X線は試料照射点において1ミクロン程度とした。照射時間は蛍光X線SDD検出時に明白な強弱が得られるようバックグラウンド部位における蛍光X線光子数を0~5 とした。シグナルが得られる領域で 100-50000 程度が得られた。生化学的に大量の銅が検出された症例を陽性対照wd1とし、対照として特に肝機能異常がみられなかった剖検症例および肝移植ドナーを用いた。対照症例で生化学的な銅の測定を施行できた例では、10ug/g dry weightを越えることはほぼなかった。米国や欧州のウィルソン病診療指針では正常は50ug/g以内で5倍以上(250 ug/g以上)がウィルソン病判定の基準とされているが、胆汁うっ滞を来した肝臓でも200を越えることは少なかった。上記設定条件で測定すると正常対照では極少ない銅が一定量のシグナルが様々な測定ポイントにあった。一方、ウィルソン病症例1(w1)では極めて強いシグナルが得られた。実際には光子数の絶対値そのものよりむしろピクセルで構成される組織や細胞構築で隣接する構造との差があると濃淡が付くためとカウント数そのものが必ずしも高くなくとも画像化は十分に行えるとの感触を得た。画像化に向けた測定至適条件が得られたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
SPring-8およびKEK-PFの国内の放射光施設のビームラインを用いることにより効率よく至適条件の設定ができた。検出感度は施設によって異なるが測定設定や試料条件を改良しどちらでも測定自体は可能となった。解像度が異なるので目的に応じた使い分けが重要である。
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Strategy for Future Research Activity |
1)できる限り多くの症例について解析を行い確実なデータを取得して病型・遺伝子型と組織学的な銅局在の関係を明らかにする。取得したデータから画像化する方法が煩雑で手間がかかる。なんとか共通の基盤にたったプログラムを開発することで解決したい。 2)試料作成の過程で組織に含有される元素が影響を受けて変動するが、本研究の対象とする銅については許容範囲と考えられる。その証拠を数多くの試料で証明する必要があるが、動物実験モデルも加えて検討することで対応を考えたい。 3)定量化に際して絶対値での比較が望ましいと考える。薄膜標準試料が世界中で不足している(もうavailableでない)ので、自分であるいは専門家の力を借りて作成する必要がある。微量のためここがかなり難しいが解決すべき点である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画的に行っています。放射光施設利用代金が高額であるが、本研究をより現実的な医学応用の手法とするには基礎実験が重要です。引き続き研究費の支援が必要である。一度システムが動けば効率的な検査システムとして運用可能となる。
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