2013 Fiscal Year Annual Research Report
放射光X線によるウィルソン病の高精度イメージング診断
Project/Area Number |
24659503
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
松浦 晃洋 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (70157238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杵渕 幸 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (30244346)
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Keywords | 放射光 / 蛍光X線 / 銅 / 組織 / 病理診断 / 発症機序 |
Research Abstract |
放射光X線のエネルギー分散スペクトル解析により、対照肝ではほとんどシグナルがないが、ウィルソン病肝に極めて高い銅シグナルを検出した。放射光X線分析が生体試料中の濃度を反映しているかどうかを検証した。新鮮試料と固定後試料の生化学的な定量から固定は銅、鉄、亜鉛にあまり大きな影響を与えない。病理組織標本は世界中の病理検査室でほぼ同様の手法を用いている。FFPEは通常の検査室レベルで作成可能で、煩雑な処理が不要であり、既存試料も用いることが可能である。生化学的な量と蛍光X線強度をプロットすると相関がみられたが、生化学的な定量をするほど十分なサンプルが採取されることは多くはない。生化学的に大量の銅を保有するが、銅染色が完全陰性の小児WD肝炎症例について銅イメージングを行った所、極めて強い銅シグナルが小葉全体に分布していた。門脈域などの間質は実質に比べると銅が少なかった。一方、WDの肝硬変症例では肝炎より生化学的な量が減少するが、銅イメージングにより、全ての結節に陽性で、結節毎にvariationがあること、periportalの実質に多く局在することがわかった。銅はウィルソン病の肝炎期には肝実質にびまん性に分布しているが、病期(線維化)の進行とともに、局在を変える傾向があることが判明した。超早期、肝炎から肝硬変への移行期の症例を蓄積して検索し、病期による組織内分布の変化を確認中である。また、高解像度条件にて、細胞内の局在についても検出可能であった。また、対照症例およびウイルス性肝炎・肝硬変ではウィルソン病肝とは量的に全く異なり、ほぼ描画できなかった。局所濃度の絶対的定量が必要であることと考え、適切な標準試料を作成中である。挑戦的萌芽研究により病理組織切片を用いたウィルソン病のイメージング診断の基盤が整った。
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