2012 Fiscal Year Research-status Report
成育医療における骨・靱帯の生分解性足場材料の探索と融合蛋白質の創製
Project/Area Number |
24659506
|
Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
川北 敦夫 独立行政法人国立成育医療研究センター, 生殖・細胞医療研究部, 研究員 (40338083)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅澤 明弘 独立行政法人国立成育医療研究センター, 再生医療センター, センター長 (70213486)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | キメラタンパク質 / 細胞足場 / BMP4 / 骨形成 |
Research Abstract |
我々は細胞外マトリックスの代表的な細胞接着タンパクであるファイブロネクチンの持つコラーゲンへの高い結合性に注目した。本研究の目的は骨形成タンパクの一つであるBone morphogenic protein 4( BMP-4 )にファイブロネクチンのコラーゲン結合領域を融合させたキメラタンパクを作製し、コラーゲン複合化合成高分子担体へ結合させることで培養担体の持つ利点を生かしたまま、成長因子の供給も行うことのできるインテリジェント再生足場材料を開発することである。I. コラーゲン複合化合成高分子シートの作製として、生体吸収性合成高分子であるポリグリコール酸-ポリ乳酸共重合体(PLGA)からなるニットメッシュにアテロ化コラーゲンのマイクロスポンジを真空凍結乾燥法にて複合化させグルタールアルデヒド架橋を行った。メッシュの空隙をコラーゲンの網目で覆うことで細胞に対する親和性と表面積の増大を図った。キメラタンパクの作製として、ヒト正常細胞に発現するファイブロネクチンのmRNAを鋳型として増幅させた相捕的DNA遺伝子配列の中から既知であるコラーゲン結合領域の遺伝子配列(約1000塩基)を酵素処理にて切り出しを行った。同様に正常ヒト胎盤由来mRNAを鋳型として骨形成タンパク BMP-4の成熟型遺伝子配列(約400塩基)を抽出し、両者を連結したタンパク発現ベクターを作製した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究遂行のために、細胞を培養するCO2インキュベーター、無菌操作のためのクリーンベンチ、試薬等保存のための冷蔵庫、細胞保存のための液体窒素容器および、−80℃フリーザーを備えている。また、細胞プロファイリングのためにタンパク質および遺伝子発現を解析するためのフローサイトメーター、PCR装置、DNAシークエンサー等も備えており、遅滞なく研究を進めることが可能であった。また、動物実験に関しても、飼育ブロックも割り当てられており、動物への移植実験についても何ら問題はなく遂行できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
シート上のキメラタンパク局在は生体外にて免疫組織学的に評価するとともに培養液中へのタンパク放出程度をファイブロネクチンの継時的なELISA法により推定する。キメラ化BMP-4の機能確認は培養未分化骨髄間質細胞へのキメラタンパクの添加および複合化シートへの細胞播種実験により、骨分化マーカー遺伝子の発現、alkaline phosphatase活性の定量にて行う。さらにこの複合化シートを単独または未分化骨髄間質細胞を播種した状態で免疫不全マウス(NOD/SCID/IL-2 ノックアウトマウス)へ移植し、骨への分化、骨再生方法を検討する。また各種条件下での足場の形態を確立する。加えて組織学的評価を通じて生体内における骨形成能と組織に対する毒性の有無を確認する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞培養のための試薬・器具、遺伝子解析用試薬を購入する。また成果発表のための旅費、研究補助者に対する謝金に充当する。
|