2012 Fiscal Year Research-status Report
胎児子宮内発育遅延の新しい病因としての自然免疫受容体NOD1リガンドの解析
Project/Area Number |
24659509
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
原 寿郎 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40150445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 壽乘 九州大学, 大学病院, 研究員 (00507783)
永田 弾 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (20570790)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 子宮内発育遅延 / 自然免疫受容体 / NOD1 |
Research Abstract |
自然免疫受容体のひとつであるNOD1と、子宮内胎児死亡(IUFD)や胎児子宮内発育遅延(IUGR)といった周産期疾患との関連を調査するため、NOD1の人工合成リガンドを妊娠マウス(野生株とNOD1ノックアウトマウス)に1回皮下注射した。予想通り、NOD1リガンドによってIUFDまたはIUGRが惹起されることが確認できた。胎仔体液を質量分析計(LC/MS)およびNOD1レポーター細胞を用いて解析し、母獣に投与したNOD1リガンドが胎仔へ移行していることを確認できた。以上から、NOD1リガンドは母獣から胎仔へ経胎盤移行し、児へ影響を及ぼすことが推定された。 次に、NOD1リガンド投与母獣由来胎仔の体液中サイトカインを測定し、MCP-1が比較的特異的に上昇していることを見いだした(蛋白質およびmRNAレベルで確認した)。その産生源を見いだすため、胎仔の各臓器を採取し解析したところ、主に血管からMCP-1が産生されていた(蛋白質およびmRNAレベルで確認した)。以上から、NOD1リガンドは胎仔の血管炎を惹起していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NOD1リガンドを母獣に投与すると、胎仔へ経胎盤移行し、IUFDやIUGRが惹起されることが確認でき、予想通りだった。胎仔において血管炎が惹起されていることが示唆されたが、病理組織学的検索で血管炎の根拠は未だ見いだせていない。
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Strategy for Future Research Activity |
妊娠マウス(野生株およびノックアウトマウス)に対し、NOD1リガンドの量や投与経路、投与回数を調節して、現象を確認する。NOD1リガンドが胎仔に与える影響およびその機序について、病理組織学的検索(免疫組織化学染色)を中心に解析を進める予定である。また、原因を同定できていないヒトIUGR発症母子の血清や尿中のNOD1リガンドの有無を、LC-MSやレポーター細胞を用いて評価し、臨床背景との関連性を解析する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験動物購入・飼育 60万円 サイトカイン解析 60万円 レポーター細胞および培養検査試薬 58万円 LC-MS試薬 20万円 病理評価試薬(抗体等) 30万円 成果発表(国内旅費) 10万円 その他 10万円
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