2012 Fiscal Year Research-status Report
早期産児におけるグルココルチコイドレセプター遺伝子メチル化の解析
Project/Area Number |
24659511
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
寒竹 正人 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80327791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 将弘 順天堂大学, 医学部, 助教 (50465051)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | グルココルチコイドレセプター / メチル化 / 早産児 |
Research Abstract |
初年度はなるべく多くの症例で解析を行い、方法論の確立と大まかな傾向をつかむことを目標とした。正常新生児30例、早産児30例、発達遅滞児10例、正常小児10例での解析を行うことができた。方法論はおおむね確立することができ、早産児では正常新生児に比べて出生時にGR遺伝子プロモーターのかなり広い領域で高いメチル化を示していることが判明した。そして出生後4日間でメチル化はかなり変化することも判明した。 一方、早産で出生したのち6歳で発達遅滞を呈している3名で(ADHD1名、アスペルガー障害1名、低IQ1名)同年齢のコントロール群に対して著明に高いGR遺伝子メチル化が観察された。そしてそのメチル化のパターン(GR遺伝子プロモーターには38箇所のCpGサイトがあり、個々の部位のメチル化率を個別に算出しており、そこにみられる高メチル化部位のパターンがみられる)が出生時の早産児におけるそれと一致していた。 以上の所見から考えられることは、早産児は早産に至る過程ですでに多大なストレスにさらされることでGR遺伝子プロモーターに変化をきたしている。そして出生後の環境によりある程度修正される。ところが修正されないものや新たに出生後環境により修飾される部分もあり将来的な発達遅滞の原因となることがある。 来年度はこの結果をふまえて早産児における解析を増やし、周産期因子の関連をしらべるとともに、末梢血GR遺伝子メチル化に伴う末梢のグルココルチコイド抵抗性の結果として考えられる炎症の遷延をサイトカインの測定をとおして解析していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的どおり、多くの症例を検討することができ、方法が安定して結果を出せるようになった。検体の精製法や検体量など手さぐりであったが、満足する結果が安定して出せるようになった。そして出生時の状況の把握がほぼ終了し、予想通り早産児では成熟児に比べて高いGR遺伝子のメチル化を示すことが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は昨年の成果を論文化することと、対象を早産児に絞り周産期因子との関連を解析することに重点をおく。 一方、GR遺伝子のメチル化による生体の反応の評価法であるが、当初の予定ではストレスに対するステロイド分泌を考えていたが、GRメチル化を解析する検体が末梢血であることから、より直接的な評価として末梢血中のサイトカイン測定を考えている。GR発現が低下することによるグルココルチコイド抵抗性が炎症の遷延を引き起こすという理論によるもので、実際そうした例も報告されている。そして早産児のさまざまな合併症(慢性肺疾患、未熟網膜症、気管軟化症など)には炎症が関与しており、そうした急性期合併症との関連を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は論文作成費、学会参加費など実績を作成する作業にかかる費用が増加するものと考えらえる。消耗品は同様に必要だが、新たな物品は購入する予定はない。
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Research Products
(3 results)