2013 Fiscal Year Research-status Report
ライソゾーム病モデル動物に対するヒトiPS細胞及び体性幹細胞による治療戦略の創成
Project/Area Number |
24659513
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
大倉 隆司 独立行政法人国立成育医療研究センター, 生殖・細胞医療研究部, 研究員 (50183223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅澤 明弘 独立行政法人国立成育医療研究センター, 研究所再生医療センター, センター長 (70213486)
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Keywords | ライソゾーム病 / 再生医療 / 成育医療 / 糖鎖 |
Research Abstract |
ライソゾーム病は細胞内での正常の代謝に必要な各種のライソゾーム加水分解酵素が遺伝的に欠損し、本来分解されるべき細胞構成物質が分解されずに異常に蓄積し、重篤な症状を呈する疾患群であり、障害を受ける酵素や代謝経路により40種類以上が分類されている。発症頻度は数万~数十万人に1人程度の希少疾患であるが小児科や内科をはじめ幅広い臨床領域で現われる重要な疾患群で、厚生労働省の特定疾患「難病」に指定されている。 本研究は先天性代謝異常症のひとつであるライソゾーム病に対する新規の細胞移植治療法の開発を目的とする。ヒト間葉系(幹)細胞およびヒトiPS細胞をライソゾーム病のモデルマウスに対して移植し、治療効果および安全性を総合的に解析・評価する。本研究は現在根本的な治療法がないライソゾーム病に対して有望な治療法を提示する。 本年度は前年度に引き続き、SD-scidマウスへの移植実験を行った。今までの検討により治療効果が高いと判断した細胞を数種類選択し、SD-scidマウスの頭蓋内に移植し、その効果を解析した。解析を行った項目は、寿命、体重変化、神経症状、酵素活性、蓄積量の減少、移植した細胞の生着および酵素活性の組織内分布、移植に伴う副反応の有無等を総合的に解析した。また、臨床への適用を想定し、免疫抑制剤による免疫制御下での移植実験も開始した。特に、iPS細胞をSDマウスに移植した際に、免疫抑制剤の使用を中止することでiPS細胞(テラトーマ)を排除することが可能かどうかを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までにin vitroにおける細胞の有効性の検討を行い、そのセレクション、スクリーニングの検討を行っており、候補細胞について順次マウスへの移植実験を行っている。これらは全て研究計画書に記載されている事項であり、概ね順調に推移していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、in vitro, in vivoにおける有効性の検討を継続する。特にSDマウスへの移植実験については、臨床への適用を想定し、免疫抑制剤による免疫制御下での移植実験も視野に入れる。iPS細胞をSDマウスに移植した際に、免疫抑制剤の使用方法を検討することで、iPS細胞(テラトーマ)を排除可能かどうかを中心に検討し、臨床応用の出口戦略につなげることを目標とする。。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画は概ね順調に推移したが、自施設で維持しているSDマウスは妊娠・出産のサイクルが安定しないため、in vivoの検討を行った際に、マウスの供給匹数が想定していた数よりも少なくなってしまったため、それに伴う試薬量や外注解析数が減ったため残額が生じ、次年度使用額として計上することとなった。 SDマウスのサイクルの安定を図ることは難しいが、今後も継続的に供給マウス数を確保することは可能であるため、研究計画の変更を行うこと無く研究を継続する。
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