2012 Fiscal Year Annual Research Report
表皮水疱症に対する骨髄移植による欠損タンパク発現療法の作用機序解明
Project/Area Number |
24659515
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
阿部 理一郎 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60344511)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 表皮水疱症 / 7型コラーゲン / 骨髄移植 |
Research Abstract |
表皮水疱症は先天的に皮膚構造蛋白に異常を有することで,皮膚の脆弱性をきたす難治性皮膚疾患である。現時点で根本的かつ有効な治療法は確立されていない。本研究の目的は,もっとも頻度の高い表皮水疱症である,栄養障害型表皮水疱症に対する根本的治療法として,骨髄由来細胞および幹細胞移植療法の臨床治療の有用性を,ヒト化蛋白モデルマウスを用いて検討するものである。骨髄および末梢血中に含まれる幹細胞のtransdifferentiationを解析することで,有効な治療法の確立していない先天性難治皮膚疾患に対する治療法の確立に寄与する。本研究課題について以下について検討を行い、成果を得た。 (i)骨髄移植の施行およびtransdifferentiateed cellの検討:骨髄移植後、正常部皮膚およびびらん上皮化部皮膚を採取し、COL7の発現を検討した。ドナー由来細胞の存在および頻度を検討するために免疫染色でGFP陽性皮膚構成細胞を解析した。結果、骨髄由来の表皮細胞の存在を確認した。頻度は、前基底細胞中1~数%であった。加えて、表皮真皮境界部にCOL7の発現も認めた。発現度合いは、前基底膜の15%程度であった。 (ii)移植後の臨床症状評価:実際の皮膚の強度への関与を評価するため、電子顕微鏡での微細構造の変化および臨床的な変化を観察した。長期予後解析のため、移植後最低1年間は有棘細胞癌の発生の有無を観察し、死亡率を検討した。超微細構造上、ヘミデスモゾームの数および形態的な改善が認められた。さらに粘膜部の潰瘍形成も著明な減少がみられた。また観察期間中、有棘細胞癌の発生は認められなかった。 (iii)分化細胞の同定および分化因子の推定:皮膚構成細胞およびCOL7産生細胞へ分化したドナー由来責任細胞を同定までにはいたらなかった。引き続き検討を行う。
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Research Products
(1 results)