2012 Fiscal Year Annual Research Report
スピンラベル法を用いた皮膚バリアー機能を簡便に測定する画期的なシステム確立
Project/Area Number |
24659518
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
澤村 大輔 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60196334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤坂 英二郎 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (30436034)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 皮膚 / 角化症 / 角質間脂質 / スピンラベル / ラジカル |
Research Abstract |
皮膚の最外層にある角質層の主な機能はバリアー機能や防御機能である。その保持に不可欠であるのが、角質細胞と細胞間脂質である。角層機能の評価は、組織化学・電顕などからある程度の情報が得られるが、生検が必要となり経時的な検討は難しい。そのため、臨床の場では角質水分量や経皮水分蒸発量(TEWL)を指標とするが、もちろん角層の構造や機能を直接反映するものではない。また、爪甲異常を検出するような検査法もない。このような状況で、もし、角層の構造を簡単に測定する新しい方法論が開発されれば、画期的な萌芽システムになることは間違いない。スピンラベルした脂質を、角層間脂質に取り込ませ、電子スピン共鳴スペクトルを検出し、角質細胞間脂質の構造を評価する方法論を確立するのが、本研究の目的であった。そのために、モデル動物を使用して、本法の有用性を証明する。また、乾癬など、角層の機能異常がみられる疾患で、電子スピン共鳴のスペクトルを検討する。さらに、ほとんど検査法がない爪甲疾患でも本法で検討する計画であった。本研究の結果として、正常人の角層や生体膜の機能や構造を適切に評価できることが分かった。このような基礎的な実験を基礎に、皮膚疾患の乾癬について検討した。その結果、乾癬において角質に異常があることが判明した。また、爪甲異常を伴う多くの皮膚疾患があるが、その異常を検知する有効な方法がない。本法で爪甲の微細な異常を早期に発見できるようになれば、爪甲異常の診療に有用な革新的な検査法となりうる。そこで、乾癬における爪甲の異常についても検討した。その結果、爪の異常も本法で評価できる可能性が示唆された。以上から、本法は細胞間脂質の構造や機能を反映するものであり、今までにはなかった画期的な新方法論と結論した。
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