2012 Fiscal Year Research-status Report
変異マウスを用いた迅速化表現型スクリーニングによる色素細胞制御遺伝子の同定
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24659524
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
大沢 匡毅 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10344029)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 遺伝子改変マウス / 色素細胞 / 遺伝子ノックダウン / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
遺伝子機能の解明はポストゲノム時代の重要な課題である。本研究の目的は、色素細胞特異的な遺伝子ノックダウンマウスを多数作成し、体毛色異常を指標とした簡便な表現型スクリーニングによって、多数の機能遺伝子を網羅的に同定することである。これまでに、①ノックダウンコンストラクトの遺伝子ノックダウン効果を迅速に定量評価するアッセイ系を構築するとともに、②迅速に色素細胞特異的なノックダウントランスジェニックマウスを作成するために、トランスジーンの不活化が起こらないRosa26遺伝子座特異的にノックダウンコンストラクトを簡便に挿入できる遺伝子改変ES細胞株を樹立した。ノックダウン効果を迅速に定量評価系については、既存のセンサーアッセイ法を大幅に改良した。Venus(蛍光タンパク質)遺伝子とノックダウンターゲット遺伝子を融合させた分子を発現するコンストラクトとshRNAをコンディショナルに発現するコンストラクトを一つのアッセイベクターに組み込むと共に、本アッセイベクターを293T細胞の特定のゲノム部位に1コピーだけ導入することにより、蛍光強度変化によりノックダウン効果を正確に定量評価することが可能になった。同時に、遺伝子改変をしたES細胞を新たに作成し、ノックダウン効果の評価に用いたshRNA発現コンストラクトを改変すること無しにRosa26遺伝子座に導入することを可能にした。これらの工夫によって、色素細胞特異的な遺伝子ノックダウントランスジェニックマウスを作成するために使用するES細胞を迅速に作成できるようにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①評価遺伝子の選別―これまでの比較遺伝子発現解析から得られた色素細胞発現遺伝子群について、公的遺伝子発現データベース(Protein Atlas, Euexpressなど)を活用し、in vivoで色素細胞に強く発現が認められる遺伝子83個を選別した。本件については計画通り順調に伸展していると評価した。 ②shRNAの作成とノックダウン効果の確認―ノックダウン効果を迅速に定量評価するアッセイ系構築し、アッセイ系の有効性を確認した。また、RMCE (Recombinase-Mediated Cassette Exchange)法を活用し、ノックダウン効果が確認されたshRNA発現カセットを迅速にES細胞に組み込むことを可能にした。これらについては当初計画以上の伸展を達成したと評価した。 ③ノックダウンマウスの作成と表現型スクリーニングーノックダウンマウスの作成については、当初の計画と比べ、若干の遅延が生じている。平成25年度は、ノックダウンマウスの作成と表現型スクリーニングに集中して研究を実施し遅延を解消する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の目的の達成に必要な新規技の開発や改良は既に終了している。今後は、順次ノックダウントランスジェニックマウスを作成し、それらの体毛の表現型を解析していく。解析結果は、データベースとして蓄積していくと共に、白髪化等の興味深い表現型が得られた場合は、組織学的手法によりさらに詳細に遺伝子機能を解析する。予想に反し、作成したノックダウントランスジェニックマウスについて体毛色について異常が認められなかった場合には、培養メラノサイトを用いて、メラニン色素合成能や、細胞生存能、細胞遊走能を指標にしたshRNAの1次スクリーニングを行い、効果が認められたshRNAについてのみノックダウンマウスを作成し表現型解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
データベースの構築とWebでの公開-平成24年度と同様に遺伝子ノックダウンマウスを作成し表現型スクリーニング実施する。研究期間の残り3ヶ月を目処に、表現型スクリーニング結果をまとめ、全ての解析結果をデータベースス化する。これをWebで公開し、バイオリソースとして共有化する。 平成24年度はほぼ予定通り予算を執行したが、遺伝子ノックダウンマウス作成のスケジュールについて若干の遅れが生じたため、物品費の購入額が当初予定額より少なくなり、150,000円の繰越金が生じた。平成25年度は多数の遺伝子ノックダウンマウスを作成する予定であり、また、その後行う表現型スクリーニングと解析結果のデータベース化によって、全ての研究費が執行される予定である。
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