2013 Fiscal Year Annual Research Report
フィラグリンモノマー形成に関わるカリクレイン5の重要性
Project/Area Number |
24659525
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
戸倉 新樹 浜松医科大学, 医学部, 教授 (00172156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平川 聡史 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (50419511)
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Keywords | フィラグリン / カリクレイン / 角化細胞 / 皮膚バリア / アトピー性皮膚炎 |
Research Abstract |
フィラグリン(FLG)は皮膚バリア機能を担う重要な因子の一つであり、その前駆体であるプロフィラグリンから酵素によるプロセッシングを受けて、FLGモノマーとなることで、皮膚バリア機能の一翼を担う。しかし、FLGモノマーの産生プロセスやそのプロセスに関連する酵素の同定は未だ不明瞭である。FLG遺伝子変異によりアトピー性皮膚炎(AD)が発症することは最近の大きな発見であるが、一方ではFLGの酵素によるプロセッシング過程の障害でFLGモノマーが作られずADになることも充分考えられる。FLGモノマー同士を繋ぐリンカーを切断する酵素を、生化学、遺伝子工学的手法を用いて同定することを試みた。 これまでに申請者らは、カリクレイン5(KLK5)がフィラグリンの成熟に関与することを示唆する結果を得ていた。プロフィラグリンのリンカー部分を挿入した合成基質に、KLK5を含むこれまでに報告された候補酵素を適当な緩衝液中で反応させることにより、基質特異性を検討したところ、KLK5がそのリンカーを切断することを確認した。KLK7はその酵素活性を持たなかった。しかし、合成基質 のリンカー領域に変異を挿入したものでは、分解されなかった。さらに KLK5 の中和抗体や阻害剤を用いた酵素活性阻害実験においても、合成基質の分解が抑制された。KLK5 shRNA を正常ヒト表皮角化初代培養細胞へ導入することで、KLK5 の発現が抑制された。KLK5 の発現を抑制した細胞では、プロフィラグリンのプロセシングに異常が見られた。蛍光免疫組織化学染色法、PLA 法、免疫電子顕微鏡法において、表皮顆粒層において、プロフィラグリンと KLK5 の共局在が細胞内において認められた。 これらの結果はKLK5がプロフィラグリンのプロセッシングに関わる酵素であることを示した。
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