2012 Fiscal Year Research-status Report
皮膚表皮老化メカニズムの新概念phosphate toxicityの解明
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24659527
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小川 靖 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (10567754)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 皮膚病態学 / 老化 / 代謝調節 / ケラチノサイト |
Research Abstract |
近年、遺伝子改変マウスを用いた研究により、高リン血症が組織の早期老化様現象を起こす可能性が示唆された。また、高リン血症を起こす慢性腎不全、人工透析、副甲状腺機能低下症で表皮の老化様変化が認められる。本研究では、高リン血症が表皮ケラチノサイトに老化様変化を引き起こす可能性を検討した。成人皮膚ケラチノサイトを15 mMの高リン環境で培養すると、増殖を停止し、細胞老化を起こした。成人皮膚ケラチノサイトを15 mMの高リン環境で培養すると、増殖を停止し、細胞老化を起こした。様々なリン濃度で培養した結果、4 mMの濃度において、最も長く増殖を続けることが判明した。高リン環境によってケラチノサイトの終末分化への促進が起きている可能性と、老化関連分泌蛋白質の発現亢進等で特徴づけられる細胞老化が起きている可能性を検討した。異なるリン濃度において、表皮分化マーカーの発現レベルを定量PCRにより比較したところ、表皮ケラチノサイト分マーカーである、ロリクリン、インボルクリンは4 mMのリン濃度下で培養した細胞で発現が最も少なく、同じく分化により発現の上昇するABCA12についても同様の傾向が認められた。一方で、老化関連分泌蛋白質として、細胞老化時に発現が亢進することが知られている、GMCSF、IL6、IL8、MMP3、ICAM1、GROαについて、その培地中の濃度を測定したが、リン濃度を変化させても、一定の傾向は認められなかった。 結論として、今回の実験で、リン濃度はヒト表皮ケラチノサイト培養系の増殖停止時期を左右する因子であることが示された。その機序の一つとして高リン濃度が細胞の分化ストレスとして働く可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
培養細胞を用いた実験系はおおむね当初の計画の通り、研究を遂行することができ、重要な知見を得ることができた。一方で、高リン血症老化モデルマウスを作成して用いる実験では、技術的問題の為、また、老化研究という必然的に長期間を要する研究課題の為、進行が遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスを高リン食で飼育する事により、高リン血症のモデルマウスを作成したが、血中の濃度変化が不十分であり、皮膚老化の評価が困難であった。高リン食に加えて人為的に腎不全を起こしたマウスを作成して、高リン血症をより強固にし、検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マウスの維持費、及び、表現型解析のための試薬、キットの為の予算として計上する。
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Research Products
(2 results)