2012 Fiscal Year Research-status Report
表面プラズモン共鳴による血管肉腫細胞の機能的診断法の開発
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24659531
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
秀 道広 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (50284188)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 血管肉腫 / 皮膚悪性腫瘍 / バイオセンサー / 表面プラズモン共鳴 / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
平成24年度は、ヒト末梢血に浮遊する血管肉腫細胞(血管肉腫CTC)を、抗体により分離するための方法と、in vitroで刺激して起こる細胞膜近傍の誘電率の変化させるリガンドおよび細胞膜受容体について検討した。 血管肉腫CTCを物理的に分離する方法として、細胞表面にCD146を発現することが知られているヒト血管肉腫細胞株ISO-HASを健常人ヒト末梢血と混和し、さらに蛍光標識した抗CD146とともにインキュベートしてフローサイトメトリーにより検出した。その結果、末梢血5mlに対して最大10e4個のISO-HAS細胞を混合した血液検体で、最大50個程度のCD146陽性細胞を検出した。また、2名の血管肉腫患者の末梢血を用いて同様のフローサイトメトリー解析を行ったが、患者末梢血中には信頼できる数のCD146陽性細胞を検出することはできなかった。今後、定量的PCRを用いて末梢血に生理的に存在する血管内皮細胞マーカー陽性細胞の数を検討したい。 上記と並行し、血管肉腫CTC細胞膜に発現する受容体分子を探索するため、ヒト末梢血、悪性黒色腫細胞株(MMG1)、ヒト臍帯血血管内皮細胞(HUVEC)、ヒト扁平上皮癌株(A431)を用いてhEGFR、EGF、VEGF、CD44のmRNAの発現を検討した。その結果、ISO-HASとHUVECには予想通りVEGFRが、A431にはhEGFRとCD44が発現していることが確認されたが、これまで一部の血管肉腫細胞で報告されているhEGFRの発現はISO-HASでは検出されなかった。 上記結果を踏まえ、平成25年度は末梢血液より血管内皮細胞の細胞表面マーカーを発現する細胞を回収する効率を高める工夫を行うとともに、表面プラズモン共鳴で検出できるISO-HAS細胞の刺激応答の条件設定について検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理由:末梢血中の血管肉腫細胞を表面プラズモン共鳴センサーにより検出するためには、まず末梢血から血管肉腫細胞をできるだけ採取するために利用した細胞表面分子とは異なる受容体を刺激できることが重要である。当初は、これまでの報告の基づき、一部の血管肉腫では細胞表面にEGF受容体が発現していることを利用することになっていたが、実験に用いたISO-HAS細胞にEGF受容体の発現がなく、細胞刺激のための標的分子として利用できなかったことが研究の進捗がやや遅れている理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度ISO-HAS細胞に発現することを確認したVEGF受容体、ならびに非特異的な細胞活性化試薬であるカルシウムイオのフォア、フォルボールエステルなどでISO-HAS細胞を刺激し、表面プラズモン共鳴(SPR)センサーでその反応を解析する。何らかの反応が得られることが確認できたリガンドについては、正常血管内皮細胞(HUVEC)を用いて同様に刺激し、SPRセンサーでの反応を比較検討する。また、手術で摘出された血管肉腫組織より細胞を分離し、酵素処理して単細胞レベルに浮遊させた腫瘍細胞をSPRセンサーに固定し、同様に細胞応答シグナルを検討し、腫瘍に特徴的なSPRシグナルをデータベース化する。また、現在開発中の二次元細胞SPRバイオセンサーをこの目的のために改良する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
二次元細胞表面プラズモンバイオセンサーは、既に他の目的の研究で開発が進行中であるので、本研究費はすべて細胞の刺激、末梢血からの分離・同定、細胞株の培養などのための試薬ならびに器具類に使用する。
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Research Products
(18 results)