2012 Fiscal Year Research-status Report
ヌクレオチド除去修復欠損性日光過敏症のウイルス発現系とゲノム解析による網羅的探索
Project/Area Number |
24659533
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
荻 朋男 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80508317)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | DNA修復 / ヌクレオチド除去修復 |
Research Abstract |
本研究では、以下の3つの課題に取り組んでいる。 課題1: 国内外の「ヌクレオチド除去修復(NER)欠損性日光過敏症」患者由来の初代培養細胞等を継続的に収集し、長崎大学においてセルバンク化する。課題2: 既知のNER遺伝子を組み込んだレンチウイルスライブラリーを作製する。これらをNER欠損性疾患細胞に感染させ、修復活性測定による相補性試験を実施することで、既知のNER遺伝子が疾患責任遺伝子であるかを迅速に判定する臨床診断システムを構築する。課題3: 既知のNER遺伝子が疾患責任遺伝子ではないと考えられるケースについて、ゲノム解析を実施することにより、新規NER関連遺伝子を探索する。 24年度には以下を実施した。 課題1: これまで交流のあった宇谷厚志教授/長崎大学、錦織千佳子教授/神戸大学、Alan Lehmann教授/英国Sussex大学、Miria Stefanini教授/イタリアCNRに加え、新たに森脇真一教授/大阪医科大学、久保田雅也医長/国立成育医療研究センターからも、色素性乾皮症/コケイン症候群/紫外線高感受性症候群等のDNA修復欠損性光線過敏症例の提供を受けるようになり、検体収集ネットワークが拡大しつつある。課題2: 既知のNER遺伝子を組み込んだレンチウイルスライブラリーの作製を実施した。さらに、これらのNER欠損性疾患患者細胞への感染及び修復活性測定の条件検討を行った。その結果、既知のNER遺伝子が疾患責任遺伝子であるかを迅速に判定する臨床診断システムの確立に成功し、実際に運用を開始した。課題3: 現在、既知のNER遺伝子が疾患責任遺伝子ではないと考えられる検体を数例発見しており、今後、ゲノム解析を実施することにより、新規NER関連遺伝子の探索を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題1:順調に、NER欠損性日光過敏症収集ネットワークを広げてきており、それに伴い長崎大学保有の検体数も増加し、順調にセルバンク化が進んでいる。 課題2:NER欠損性疾患の迅速な臨床診断技術を確立しただけでなく、実際の臨床現場での運用にまで発展している。学内だけでなく、学外及び海外からの診断依頼も増加しており、非常に有用な診断システムを構築したと言える。 課題3:既知のNER関連因子が疾患責任遺伝子ではないと期待される検体を既に数例抽出しており、今後更に増えると予想される。 以上の事から、当初の課題を適切に達成してきており、本研究は順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
課題1:課題2で確立した臨床診断技術を活用し、NER欠損性日光過敏症収集ネットワークの更なる拡大を図るとともに、長崎大学におけるセルバンク化を進める。 課題2: 24年度に確立した臨床診断システムはNER欠損性疾患のみに対応したものである。しかし、診断依頼のあった検体でNER正常の検体も多数あった事から、25年度には、DNA修復欠損性疾患全般に対応できる診断システムの開発に取り組む。 課題3:引き続き診断を進め、「既知のNER関連因子が疾患責任遺伝子ではないと期待される症例」の抽出を行う。同時に、現在得られている候補の検体についてゲノム解析を実施し、新規NER関連遺伝子の探索を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度の研究計画が順調に進んだ事から、次年度もおおむね当初の予定通り計画を進めることする。 研究費については、以下のものを購入予定である。 1: セルバンク化および臨床診断に用いる消耗品として、細胞培養用品やプラスチックウェアー類、修復活性測定に用いる試薬類など 2: ネットワーク構築のための旅費 3: ゲノム解析にかかる各種試薬/消耗品など
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