2014 Fiscal Year Annual Research Report
微細対人機能障害患者におけるアスペルガー障害因子の検出テストの開発
Project/Area Number |
24659544
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小川 豊昭 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (20194441)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 均 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 准教授 (00302745)
古橋 忠晃 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 助教 (50402384)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | アスペルガー障害 / 発達障害 / 自閉スペクトラム / システム化 / ミラーニューロン / 我々意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
発達障害者、すなわち自閉スペクトラムのケースにおいて、その最も軽い形態について、当事者の協力を得て、その性質と本質を解明することを目指した。 ここで研究協力者となっていただいた発達障害者は、IQ150以上で社会的にも高い地位に有り、優れた業績も上げている人物であり、家庭生活上も結婚して子供もいる。外見的には、全く問題が無いと言える。その彼と46編のアスペルガー関連の論文、書籍を詳細に検討して、彼自身の経験と照らしあわせて、何が本質なのかを検討した。 その結果彼は、幼少期から他者たちが普通に持っている「我々意識」の無いことが明らかとなった。これは、母親との一体感も体験していないというレベルでの根源的な事態であることが明らかとなった。そのため、彼は常に疎外感とマイノリティー感情を持っていたといえる。そこで開き直ってしまったのが自閉症者と言えるが、彼は我々意識を持つ健常人を観察してそれらしく振る舞うことにしたのである。彼は、健常人としての振る舞いを内部にシステムをつくり上げることでそれらしく模倣することが出来るようになった。この内部のシステムは、言語の使用や感情や、「我々意識」などすべての領域に及ぶことが明らかとなった。ヴィトゲンシュタインの哲学の体系も、彼と同様の自閉症者として生まれた者が、人間社会を前にして戸惑いなんとか対応しようとして創りだしたシステムであったことがわかる。いわば人間でない別の存在が人間として人間の格好で生まれてきてしまったと言う悲劇である。逆に健常者の我々意識は、おそらくはミラーニューロンによって意識以前に生得的に設定されているのであろう。 以上のことから結論として、自閉スペクトラムという「自閉症者から健常者まで連続的に移行する」という考えは否定され、外見的にどれほど軽微なアスペルガーであっても本質的に断絶があり、その本質は人間の振りをするシステムと言える。
|