2012 Fiscal Year Research-status Report
上腕動脈血管機能計測による動脈硬化症早期診断のための生理的機能診断システム構築
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24659550
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉永 恵一郎 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (30435961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 千恵次 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (10292012)
山田 聡 北海道大学, 大学病院, 講師 (80374320)
西田 睦 北海道大学, 大学病院, 技師長 (90404722)
西尾 妙織 北海道大学, 大学病院, 助教 (90463736)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 画像診断学 / 血管機能 |
Research Abstract |
背景:本研究の目的は新規開発した血管機能計測装置の有用性を検討するため、安静時及びニトログリセリン(NTG)負荷時の血管弾性率、血管断面積の計測を行い、上腕動脈超音波検査法と比較することである。 方法:血管弾性率、断面積は血管壁追従機能を備えた血管容積・圧検出装置にてオシロメトリック法で計測した。血管弾性率は以下の式にて算出した [Ve=ΔPressure/(100Xvolume/volume)mmHg/%]。若年健常者8名(35歳未満、22.7±0.8歳)と高齢健常者6名(35歳以上、50.8±8.4歳)に対し安静時及びNTG負荷時に自動計測と上腕動脈超音波検査を施行し比較を行った。 結果:安静時の血管断面積は全被験者で超音波検査による血管径と有意な相関関係を示した(r=0.90; P<0.001)。NTG投与にて血管断面積が両群とも増加を認めた(若年群10.8±2.1 vs 14.1±2.4 mm2,P<0.001、高齢群 14.3±3.3 vs 18.9±5.4 mm2,P=0.014)。高齢者では若年者に比して安静時血管断面積が増加し (14.3±3.3 vs. 10.8±2.1 mm2, P=0.038)、また血管弾性率も有意に低下していた 結論:新規開発したオシロメトリック法での自動血管容積・圧検出計測は加齢による血管径の増加及び血管弾性率の低下を超音波計測と同様に精確に検出しえた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血管進展性計測プログラムの開発については若年健常者および高齢健常者に加え一部高血圧患者など幅広い検査対象例でのデータ収集を行い、容積変化を求める最適なポイントの決定を行うことが出来た。このプログラム条件の決定により、安定した計測数値が新規開発した装置から得られることが出来るようになった。また、プログラムの開発により高齢者にて血管進展性が低下することを明らかにすることが出来た。 血管径は動脈硬化による血管リモデリングにより拡張していくため、動脈硬化の指標の一つである。オシロメトリック法による血管断面積の計測法は超音波で計測した上腕動脈径と有意に増加していることが示せた。 一方、女性例での検討は対象者のリクルートが進んでいないため、次年度に実施する予定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に健常者にて開発を進めてきた血管進展性計測の臨床応用を図ることを目的とする。慢性腎臓病患者における心血管合併症が予後規定因子として重要視されている。慢性腎臓病患者および糖尿病患者では腎機能低下のため造影剤を使用した従来からの冠動脈造影、冠動脈CT検査が困難であり、造影剤を使用せずに侵襲性の低い検査で精密な血管機能検査の応用が急務である。そこで今年度は慢性腎臓病患者での血管進展性計測の臨床的有用性について検討を行う。 また前年度の課題であった女性例への応用については研究参加者の募集が進められる体制を構築できたので、今年度は女性例での血管進展性計測についても検討を進めて行く。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費用としてFMD用アームホルダーを購入したが、当初の見積もりと比較し、実際納入価格が下回ったため未使用額が発生した。この未使用額については下記に記載しているが血液生化学マーカーを計測するキットの購入に充当する予定としている。 血管傷害を計測する血液生化学マーカーを計測するための試薬、キットを計上している。また動脈硬化の基礎的因子を調べるために採血検体の計測に予算を計上した。 血管進展性検査施行時に必要な負荷用薬剤についても予算を計上している。 また、研究成果を学会にて報告する経費として旅費を、誌上発表するための経費として外国語論文校閲費を予算に計上した。
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Research Products
(1 results)