2012 Fiscal Year Research-status Report
体内マーカ用金属コイルを利用した新しい体内線量測定法の開発
Project/Area Number |
24659552
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石川 正純 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80314772)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 体内線量測定 / 体内マーカー / 金マーカー / 高精度放射線治療 / 動体追跡放射線治療 |
Research Abstract |
本研究の目的は、放射線治療における腫瘍近傍の体内マーカーに非接触での積算線量計の機能を持たせた新たな体内マーカーを開発することである。放射線治療では、しばしば金属マーカーを刺入してX線で透視を行うことにより、腫瘍の位置を確認する方法が用いられている。 従来は金球によるマーカーをパターンマッチングにより認識していたが、同様に金コイルのような非球形のマーカーとしてVISICOILなどの体内金属マーカーが薬事認可となり、臨床での使用も可能となっている。マーカーの種類として、球状、コイル状など様々な形状が臨床において使用されているが、コイルは電気回路的な性質も併せ持つことから、マーカーとしてのコイルを電気回路として応用することも可能であると考えた。そこで、放射線照射により体内に埋め込まれたマーカーの電気的な性質の変化を外部から測定することにより、マーカーに照射された線量を測定できる方法について考察した。 コイルを含む電気回路的な性質の変化を観察する手法として、共振周波数の変化を捉えることが考えられる。アンテナアナライザを用いることにより、アンテナのSWR値(Standing Wave Ratio)の計測が可能であることから、コイルを近づけた際のSWR値変化から、共振周波数の変化を確認した。しかし、この方法ではアンテナのごく近傍でしかSWR値の計測が困難であることから、ネットワークアナライザに射出用アンテナおよび計測用アンテナを接続することにより、空気中でアンテナ間の距離を約30cm離した状態で信号の検出を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計測の根本的な原理としての非接触計測に関して、空気中で30cm離れた状態でのコイル-コンデンサによる共振回路の周波数を非接触で測定することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
生体親和性のある材質にて共振回路を作成し、放射線照射による変化を観測する。共振周波数の測定では、アンテナの検索範囲で行う必要があるが、距離をある程度近づけて計測をする必要がある。一方、アンテナでは指向性をもたせることにより探索範囲を延長することができる。そこで、共振周波数の範囲と指向性アンテナによる測定限界範囲を確認し、距離に応じた精度の劣化などについて検討する。また、指向性アンテナを用いることにより、探索範囲を限定することができることから、複数のマーカーを使用した場合の個別測定可能性についても検討する。 次に、生体内で測定することを意識して、水中のマーカーに対して本測定方法による線量の計測が可能であるかを確認する。水ファントム中にコイル-誘電体を配置し、医療用ライナックによる線量投与を行い、想定した線量に対する応答が得られているか、実験により確認する。周囲の環境によって等価回路が変化し、空気中での応答と異なることも予想されるため、周囲の環境と等価回路に追加される構造について検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の検討において、測定の可能性については検討できたが、検出できる信号レベルが低く、30cm以上離れた位置での検出が困難である可能性が示唆された。そこで、年度内に新たな回路設計を検討したが年度内発注が難しいため、次年度へと繰り越すこととした。平成25年度の早い時期に、新たな回路設計による測定系を構築し、検出感度の向上を目指す。
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