2013 Fiscal Year Annual Research Report
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24659555
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
郡司 修一 山形大学, 理学部, 教授 (70241685)
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Keywords | PET / プラスチックシンチレーター / コンプトン散乱 |
Research Abstract |
本研究費で開発中のPETは2層のシンチレーターでできており、人体に近い方にセグメント化されたプラスチックシンチレーターが、そのプラスチックシンチレーターを取り囲む様に原子番号の大きいセグメント化された無機シンチレーターが配置されている。人体から出てきた2本の511keVのガンマ線はプラスチックシンチレーターでコンプトン散乱し、その後に無機シンチレーターで吸収される。プラスチックシンチレーターは時間応答が通常の無機シンチレーターよりも10倍速い。そのため、反応時間を正確に決められる。またプラスチックシンチレーターで散乱された位置とエネルギーデポジットを読み出し、無機シンチレーターで同様にガンマ線が吸収された位置とそのエネルギーデポジットを調べると、コンプトン散乱の運動学から、ガンマ線がどちらの方向からやってきたかという情報が得られる。また散乱方向を調べてやることで、入射ガンマ線の偏光方向を取得する事もできる。この様な情報はバックグランドを落とすのに有効に働く。我々はこの様なコンプトン散乱型のPETが原理的に可能かを調べるため、実験セットアップを構築し基礎実験を行った。 製作した装置は、Na22線源を挟むように2つの検出器でできている。それぞれの検出器はプラスチックシンチレーターとそれを取り囲む4つのCsI(Tl)シンチレーターである。2本のガンマ線がプラスチックシンチレーターで散乱された事象だけ取得して、解析を行った。 この事象の時間分解能を調べてみた結果540psecとなった。現在世界最高のTOF-PETでは300psec程度を達成しているため、今ひとつの結果となってしまったが、今後プラスチックシンチレーターをさらにセグメント化して多重散乱を小さくすることができれば、さらに性能を上げることが期待できる。
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