2012 Fiscal Year Research-status Report
炭酸ガス経皮吸収を用いた骨軟部悪性腫瘍に対する放射線治療の増強効果
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24659565
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
秋末 敏宏 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90379363)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河本 旭哉 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (30420558)
原 仁美 神戸大学, 医学部附属病院, 特命助教 (40437489)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 炭酸ガス / 悪性腫瘍 / 放射線治療 |
Research Abstract |
骨軟部悪性腫瘍細胞株(Nara H株)に対する至適放射線照射量の決定をおこなった。まず骨軟部悪性腫瘍細胞株(Nara H株)に対してin vitroで放射線照射を行い,至適放射線照射量の決定を行った。実験は、Nara H株を60mmの培養ディッシュに単層培養し、細胞に対し,Total 0,1.6,3.2, 4.8,6.4,8GyのX線照射を行った。照射後1週間でのNara Hの50%生存照射量は3.2Gyであった。 in vitroでNara H株に対する放射線治療の効果を検討した。Nara H株を6 well plateに単層培養した(約30万細胞))。X線照射(非照射をコントロールとする)を行い,0(照射直後),12,24,48時間後のアポトーシスおよび活性酸素種(Reactive Oxygen Species, ROS)の発現の変化についてFACSを用いて検討した。抽出し,ROSを介したアポトーシス亢進に関与する因子であるp38,JNK,p53,caspase-3,PARPの発現(および活性化)についてWestern Blottingを用いて検討した。照射後、24時間後のNara Hの活性酸素種は、3.2Gy 8Gy照射ともに増加しており、apoptosisもコントロール群と比較して優位に増加していた。3.2Gy照射24時間後のNara Hのp38,JNK,p53,caspase-3,PARPのタンパク発現はいずれも増加しており、Nara Hにおいて、放射線照射後、ROSを介した細胞死(apoptosis)が活性化されたことが確認された。 骨軟部悪性腫瘍細胞株(Nara H株)において、放射線照射後、ROSを介した細胞死(apoptosis)が活性化されたことが確認されたことは、平成25年度において予定しているin vivoでの実験の裏付けとなる意義があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に平成24年度行う予定であったin vitroでの実験は完了しており、また、有意な成果を得られている。また、平成25年度行う予定あるin vivoでの実験の予備実験および本実験の計画も完成しており、おおむね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に行う予定の研究計画は以下のとおりである。 1.骨軟部悪性腫瘍細胞移植モデルマウスの作成および腫瘍形成能の評価,検討 A)骨軟部悪性腫瘍細胞株をヌードマウスの背部皮下に接種し,腫瘍モデルマウスを作成する。1の検討について,各細胞株9匹,計63匹の腫瘍モデルマウスを作成する。 B)細胞接種後はマウスの体重および腫瘍サイズの計測を毎週行い,その変化を記録する。C)細胞接種後,1,2,4週間後に各細胞株3匹ずつのマウスから腫瘍を摘出し,腫瘍サイズを計測し,腫瘍形成能の高い細胞株を決定する。 2.炭酸ガス経皮投与による低酸素環境改善の評価 炭酸ガス経皮投与は過去の報告した方法に準じて行う.本手法に必要な器具,装置は学内当研究室で使用可能であり,その使用方法を熟知している。A)1で決定した骨軟部悪性腫瘍細胞株をヌードマウスの背部皮下に接種し,腫瘍モデルマウスを作成する(1検討について6匹)。 B)1週間後,作成した腫瘍モデルマウスのうち3匹に炭酸ガス経皮投与(100%CO2)を行い,他の3匹には空気(room air)の投与を同様の器具および装置を用いて10分間行い ,投与直後の腫瘍組織内酸素分圧について組織酸素分圧測定装置(Licox CMP)を用いて計測し,炭酸ガス経皮投与による低酸素環境改善の評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度からの研究費残額は、平成25年度の研究において、試薬購入費として使用する予定である。研究計画の変更などはない。
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