2012 Fiscal Year Research-status Report
中性子捕捉療法の新しい品質保証法―増感した面検出器による線質弁別二次元分布測定―
Project/Area Number |
24659568
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
田中 憲一 札幌医科大学, 公私立大学の部局等, 講師 (70363075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 純 札幌医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00274134)
櫻井 良憲 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (20273534)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 中性子捕捉療法 |
Research Abstract |
熱・熱外・高速中性子、γ線の4成分のうち、当初は熱・高速中性子及びγ線の弁別法を模擬計算で提案し、京都大学原子炉での照射実験により問題抽出をするとの計画であった。 まず模擬計算を行った。方法として、イメージングプレート(富士フィルム社TR)へのエネルギー付与をPHITSコードで計算した。照射場の例として、2.5MeV陽子による7Li(p,n)中性子を20cm厚さの重水で減速した場合を想定した。各成分を、簡単のため平行ビームとして2cm四方のIPに垂直入射した。増感材は、IPを均一厚さで包む構造とした。計算の結果、当初の予想に反し、高速中性子の寄与がエネルギー付与で2%程度と、γ線寄与の数十分の一であり、評価は難しい事を明らかにした。一方、本計画で最も挑戦的である熱外中性子の測定条件の一端が明らかとなった。具体的には、10wt%オーダーの10Bを含有するエポキシまたはシリコンゴムを数mm厚さで配置すれば、熱・熱外中性子ともに30~50%前後の寄与とすることができ、弁別の可能性を示唆できた。またこの過程で、当初危惧したイメージングプレート構造材からの反跳陽子による弁別阻害は問題とならず、むしろ反跳陽子の寄与が少ないために高速中性子弁別が難しいことがわかった。これらの成果を中性子捕捉療法国際学会、日本原子力学会で成果報告した。 上記検討は7Li(p,n)照射場に対して行ったが、京都大学原子炉での実験に備え、測定体系の再設計を行い、増感材の試作に取り組んでいるところである。このうち、イメージングプレートの遮光・形状保持、増感材への圧着のために炭素製の箱とシリコンゴム板の整備を終えている。現在、エポキシ板を製作しており、完成した体系について再度計算で有用性を検討し、実験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は熱・高速中性子及びγ線の分別法を模擬計算で明らかにする事を計画したが、予想に反し、高速中性子の評価は難しいものの、本計画で最も挑戦的である熱外中性子の測定条件の一端が明らかとなった。これとは別に、製作しやすさや取り回しに劣るため追求はしないが、4成分ともに弁別可能性のある大型の増感材体系も明らかにしている。更に高速中性子については当初計画より、補完手法として放射化箔の併用を考えており、模擬計算については当初計画より進んでいると考える。 一方、照射実験をするには至らなかった。これらを勘案して、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、熱・高速中性子及びγ線の弁別法開発を進める。具体的には、現状の増感材の問題点を照射試験により抽出し、改良を進める。この過程で、模擬計算における照射場情報を京都大学原子炉の最新公称値に置き換え、増感材の最適化を行う。 一方、高速中性子の測定法として、放射化箔を併用する方法を並行して検討する。 なお、4成分ともにある程度の寄与をもつ増感材条件の一部も明らかにしているが、この場合は大型の体系となるため、当面は追求しない予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前倒し支払いを受けたものの照射実験には至らず、これにより増感材試作費用の一部分と実験旅費が執行できなかったため、次年度使用額が生じた。これに、次年度請求する研究費を加え、120万円程度の使用を計画する。このうち、増感材試作を繰り返すための主に材料費として50万円前後、照射実験のための旅費に30万円前後、成果発表に40万円前後の使用を計画する。
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Research Products
(4 results)