2013 Fiscal Year Research-status Report
中性子捕捉療法の新しい品質保証法―増感した面検出器による線質弁別二次元分布測定―
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24659568
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
田中 憲一 札幌医科大学, 医療人育成センター, 講師 (70363075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 純 札幌医科大学, 医療人育成センター, 教授 (00274134)
櫻井 良憲 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (20273534)
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Keywords | 中性子捕捉療法 |
Research Abstract |
平成24年度に引き続き、熱・熱外・高速中性子、γ線の4成分のうち、熱・高速中性子及びγ線の弁別法を模擬計算で提案し、京都大学原子炉での照射実験により問題抽出をする計画であった。加えて、熱外中性子の弁別法の設計と照射実験を行う計画であった。 平成24年度の成果として、10wt%オーダーの10Bを含有するエポキシまたはシリコンゴムを数mm厚さで増感材として用いれば、熱・熱外中性子ともに30~50%前後の寄与とすることができ、γ線も含め3成分を弁別できる可能性があることを計算で示している。 平成25年度はこの増感材を製作し、京都大学原子炉での照射実験により3成分を弁別できるかを検証した。出力1MWで、熱外中性子照射モードを用いて2分~20分間の照射を行った。事前に模擬計算で評価した各成分に対する感度を用いて、3枚のイメージングプレートの信号強度から3成分のフルエンスを評価した。その結果、混入量の低い熱中性子についてはフルエンスが負の解となり適切に弁別できたとは言えなかったが、熱外中性子・γ線については一応の弁別ができた。平成26年度は、混合中性子照射モードなど、熱中性子の多い場で検証する予定である。 また、この増感材は程ほどの弁別ができると計算で予測したものであるが、増感材を最適化計算する段階で、3枚のイメージングプレートを同時照射する場合は10Bからの二次γ線が弁別能向上を阻害することがわかった。10Bを6Liに置き換え、設計・試作・照射を行い、3成分弁別を実証する予定である。 一方、高速中性子については、イメージングプレートの中性子感度が低いため、当初予定した10Bエポキシによる弁別は現実的でないと平成24年度に明らかにした。平成25年度は、Biなどのγ線遮蔽を併用すれば高速中性子も弁別できると示し、適切な遮蔽厚さの例を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、高速中性子弁別については、26年度までに最適化計算を完了するとした。これは既に終えており、予定より進んでいる。 一方、熱・熱外中性子、γ線の弁別は、設計と実証をある程度終えている。熱外中性子については当初予定より進んでいるが、熱中性子弁別は混入率の低い場では充分に実証できなかったため、予定よりやや遅れている。 総じて概ね順調と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
高速中性子を含む4成分の弁別については、当初に予定した最適化計算までは終えている。この場合は大型の体系となり、これによる場の乱れなど新たな検討課題が出てきたが、製作費用もかかり、当面は追求しない予定である。 逆に今年度は、熱・熱外中性子とγ線の弁別の再設計と実験による実証に取り組む予定である。具体的には、エポキシ中の6Li濃度の最適化計算を行い、増感材を試作し、京都大学原子炉で3成分を適度に含む照射をする。これにより、弁別能力を検証し、課題を抽出して総括する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
検討している6Li含有増感材の製作のために、経費を節減し、残額を繰り越した。 使用を想定していたイメージングプレートリーダーの故障に伴い、リーダーを輸送する必要がある。これに30万円前後、Li入りの増感材製作に20万円前後、照射実験のための旅費に10万円前後を使う予定である。
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Research Products
(7 results)