2015 Fiscal Year Annual Research Report
静脈内皮細胞機能のエピゲノム調節における長寿遺伝子の役割
Project/Area Number |
24659580
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
東 信良 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30250559)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 血管内皮細胞 / 内皮機能 / 長寿遺伝子 / マイクロRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
動脈の内皮細胞は、高齢化により内皮機能が低下することが知られており、高齢は動脈硬化症の大きな促進因子となっている。一方、静脈の内皮細胞について、高齢化がどの程度内皮機能を落とすのか、それによって静脈血栓症が増加したり、あるいはその静脈を用いた動脈バイパス手術の開存成績に悪影響を及ぼすのかどうか、あまり研究されていない。また、内皮細胞の老化,に関して、高齢化により内皮細胞のsirtuin-1(sirt-1)産生が低下するという報告と、逆に代償性に増加するという報告があり、見解が分かれている。 月齢18か月のラットを用いて静脈内皮細胞の静脈内皮細胞の遺伝子発現を解析し、長寿遺伝子sirt-1の発現とその関連遺伝子について、月齢2か月のラットと比較して検討した。ラットには、WisterラットとGKラット(2型糖尿病発症Wisterラット)を用い、大腿静脈に発現したmRNAおよびmicroRNA(miR)を抽出して4群間で比較を行った。 【結果】非糖尿病若年ラット(YA-NDM)、糖尿病若年ラット(YA-DM), 非糖尿病老年ラット(OA-NDM), 糖尿病老年ラット(OA-DM)の4群(各n=4)で比較検討を行った結果、sirt-1 mRNAの発現は、若年ラットで低く、老年ラットで高い傾向で、OA-NDMがOA-DMに比して高い傾向にあったが、有意差は無かった。炎症系サイトカインやp65, 増殖因子などについても4群間で有意差は無かった。それに対して、miRに関しては、miR 34a, miR 132ともに、高齢になると有意に低下し(p<0.01), さらに高齢の中でもDMラットで低くなっており(p<0.01)、静脈内皮におけるこれらmiRの機能について興味が持たれる結果が得られた。 【結語】静脈内皮における長寿遺伝子の役割は明確にできず、さらなる詳細な検討が必要と考えられた。一方、miRは内皮機能を反映している可能性があり、内皮機能のバイオマーカーとして検討する有意機な価値が示唆された。
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