2012 Fiscal Year Research-status Report
高分子型ミセルを用いた脳腫瘍標的テーラーメイドドラッグデリバリーの開発
Project/Area Number |
24659584
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三浦 裕 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40557980)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ドラッグデリバリー / ナノ材料 / 脳腫瘍 |
Research Abstract |
本研究では、リガンド搭載高分子型ミセルを用いた脳腫瘍を標的としたテーラーメード・ドラックデリバリーシステム(T-DDS)を創成する。これにより、従来型のDDSに比べて飛躍的に高いがん選択性、集積性を達成する一方で、難治がんである脳腫瘍に対する有効な治療法を確立する。平成24年度は当研究目的を達成するためのベースポリマーの合成、リガンド導入ミセルの調製、ならびにグリオーマ細胞株U87MGに対する細胞毒性試験を行った。N3-PEG-NH2の合成では、各反応段階において1H-NMR, GPCおよびMALDI-TOF MSによる分析を行い、構造解析および末端官能基の変換効率の見積りを行った。これらの結果から、精密な分子量制御と定量的なアジド基の導入が確認された。次いで、このヘテロ二官能性PEGを用いたブロック共重合体の合成を行ったところ、GPCによる分析では単峰性の溶出曲線が得られ、1H-NMRから求めたグルタミン酸の重合度は約20であり、期待した重合度に近い値であった。これらの結果から、アジド基がNCAの重合に影響を及ぼすことはなかったと言える。得られたブロック共重合体の側鎖アルカリ加水分解、アジド基の還元、そしてマレイミド化反応に関しても、1H-NMRにて分析を行った。マレイミド基の導入率は96%であった。MAL-PEG-b-PGluを用いたDACHPt内包ミセルの調整は速やかに進行し、粒径30nmの球状ミセルが得られた。次にミセル表層へのcRGDリガンドの導入について検討した。マレイミド基に対してcRGDを反応させた後の粒径および粒径分布はリガンド導入前後で変化がなく、リガンド導入によるミセルの分解などは起こらないことが確認された。得られたミセルのU87MGに対する細胞毒性試験を行った結果、リガンドの無い系と比較して有意な活性が確認されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度までに化学合成全般を終了し、順調に細胞実験に移行できている。期間内にて動物を用いた実験を行い、ミセルの抗腫瘍効果について明らかにできる見通しが立っている。
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Strategy for Future Research Activity |
cRGDリガンドを導入したDACHPtミセルを用いて、生物学的評価、すなわち安定性、毒性試験、細胞内動態に関して、in vitroで詳細に検討を行い、各機能の最適条件を探る。さらにグリオーマ細胞株を皮下ならびに同所へ移植した実験モデル動物を用いて、ミセルによる抗腫瘍効果などについて検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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