2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24659591
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
三高 俊広 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50231618)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷水 直樹 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00333386)
須藤 亮 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (20407141)
市戸 義久 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (80452978)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 小型肝細胞 / 胆管上皮細胞 / スキャフォールド / 共培養 / 毛細胆管 / マイクロ流体 / シリコーンゴム / 基底膜 |
Research Abstract |
平成24年度は、肝索状組織を誘導するためのマイクロ流体デバイスのデザインについて及び胆管組織形成について検討した。 肝小葉の中で肝細胞索は放射状に広がる索状構造を形成しているが、この構造について微細加工技術を利用して再現することが重要である。ラットから分離した小型肝細胞と胆管上皮細胞を共培養する際に流路の適切な形状を決める必要がある。またマイクロ流体デバイスはシリコーンゴムとカバーガラスから作製されるが、シリコーンゴムのガス透過性が培養環境に影響を与えることが予測された。そこで、培養担体とシリコーンゴムおよびコラーゲンゲルを用いた簡易な培養装置を作成し、小型肝細胞と胆管上皮細胞の共培養を試みた。シリコーンゴムを担体として培養すると、細胞上部の培養液面からの酸素供給だけでなく、培養下面からもシリコーンゴムを透過して酸素供給が行われる。このような環境下で小型肝細胞と胆管上皮細胞の共培養を行うと、カバーガラスを用いた場合と異なり、培養液のpHが生理的な環境に維持されることが分かった。小型肝細胞と胆管上皮細胞の共培養を行う際の培養環境を生理的な状態に維持するためには、培養担体のガス透過性が重要であり、小型肝細胞と胆管上皮細胞の形態形成にも重要な影響を与えることがわかった。 肝組織を再構築するためには、肝細胞が分泌する胆汁の流路である胆管を伴った組織を作る必要がある。肝細胞と胆管上皮細胞を連結させるためには、最適な管腔サイズの胆管形成を誘導する必要がある。我々は、胆管上皮細胞と細胞外マトリックスの相互作用および胆管上皮細胞特異的な転写因子の機能に着目して、胆管の管腔サイズ調節機構の解析を行った。その結果、基底膜の主成分であるLaminin511/521は管腔の成長に必須であり、転写因子Grhl2がclaudin-3、4の発現調節を介して胆管の管腔形成を促進することがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、小型肝細胞と胆管上皮細胞をそれぞれ高い純度で分離することが重要であるが、胆管上皮細胞を純度高く分離することに時間がかかっている。一匹のラット肝臓から分離培養可能な細胞数、特に胆管上皮細胞の数が想定より少ないこと、また設計していたデバイスが細胞数に対して大きすぎることや比較的高価になることなど、全体的に小さなデバイスを改良する必要があることなどがわかり、改善中である。デバイス自体の作成には成功しており、縮小しても作成可能である。
|
Strategy for Future Research Activity |
胆管上皮細胞の純粋培養をコンスタントに行うことができるようになれば、まずは通常の培養皿の上で小型肝細胞との共培養を行い、その後新たに作成したデバイスを用いて毛細胆管と胆管が結合した肝組織をデバイス中に作成する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度予定していたデバイス作成は、設計などをやり直す必要がでたため作成できず、予定していた研究費を次年度に繰り越すこととした。新たな備品の購入は必要がなく、既存の研究設備を用いて研究を進めることが可能である。デバイスの作成と細胞培養用の消耗品の購入、研究補助者への謝金に支出する予定である。
|