2012 Fiscal Year Research-status Report
肝ストレスの動的解析による肝機能障害・予備能の評価
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24659598
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 直樹 北海道大学, 大学病院, 准教授 (70205946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 倫孝 北海道大学, 大学院保健科学研究院, 教授 (80256510)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 光プローブ / 小胞体ストレス / 細胞死 / pH / 生体イメージング |
Research Abstract |
1)生体レベルで肝へのストレス評価を種々のストレス・マーカーに対する分子機能プローブを作製している。i) 酸化的ストレスを示す発光プローブとして、レドックスに感受性のあるGFPあるいはルシフェラーゼの基質であるルシフェリンを修飾するにより発光プローブの開発を試みた。ii) 小胞体ストレスにたいするプローブ(CHOPあるいはPERKに対する発光による機能プローブ)を作製しているが、CHOPプローブは完成したが、PERKプローブは生体レベルでの十分なシグナルの確保が困難であり、試行錯誤により改善を試みている。iii) 細胞死を示すプローブの作製に成功した。ネクロプトーシスに関連するRIP1/RIP3の結合に応答する光プローブを作製し、細胞レベルで機能することを確認した。iv)生存能を示すプローブ(リン酸化Aktに対する光プローブ)を作製しているが、生体レベルで利用できる強度が得られていない。v)pH感受性プローブを示すプローブ(pHに依存してコンフォメーション変化を起こす分子に対して、ルシフェラーゼ再構成法を応用して作製することに成功した。 2)細胞実験:細胞ストレス実験による上記プローブの機能の特異性およびシグナル強度の検証を行なっている。①上記のプローブ作製後、マウス非腫瘍性肝細胞株(AML12細胞)をもちいて、プラスミドによりtransient transfectionにより細胞内に導入して、あるいは安定導入株を作製して、光プローブの有効性を確認している。生体レベルでは、刺激によりベースラインのシグナル強度の5-10倍のシグナルを発する必要があり、細胞レベルでの検討により、上記の如く必要に応じてプローブのデザインを評価・再検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生体レベルで肝へのストレス評価を種々のストレス・マーカーに対する分子機能プローブを具体的に作製しているが、平成24年度にそのプロトタイプとなる光プローブの開発に成功した。 i) レドックスに感受性のあるGFPに関しては、マウス生体レベルにて十分に機能しており、その有用性が確認された。ルシフェラーゼの基質であるルシフェリンを修飾するにより発光プローブの開発に関しては、基礎検討の段階である。ii) 小胞体ストレスにたいするプローブ(CHOPあるいはPERKに対する発光による機能プローブ)を作製しているが、CHOPプローブはストレスに対して良好に反応し、ほぼ完成した。PERKプローブは生体レベルでの十分なシグナルの確保が困難であり、試行錯誤により改善を試みている。iii) 細胞死を示すプローブの作製に成功した。ネクロプトーシスに関連するRIP1/RIP3の結合に応答する光プローブを作製し、細胞レベルで機能することを確認した。iv)生存能を示すプローブ(リン酸化Aktに対する光プローブ)を作製しているが、生体レベルで利用できる強度が得られていない。v)pH感受性プローブを示すプローブ(pHに依存してコンフォメーション変化を起こす分子に対して、ルシフェラーゼ再構成法を応用して作製することに成功した。細胞ストレス実験による上記プローブの機能の特異性およびシグナル強度の検証を行なっているが、平成24年度の研究としては予定通りあるいは予定以上の進捗を示したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞実験におけるストレスとしては、以下の実験を検討する。1)酸化的ストレス、2)低酸素、3)高グルコース・ストレス、4)senescence(細胞老化:細胞継代実験により行なう。)。②上記検証実験にて、十分な特異性とシグナル強度をもつプローブに対しては、小動物(肝臓)に導入するために、これらベクターをアデノウィルス・ベクターに組み込む。アデノウイルス・ベクターに組み込まれたプローブをマウス肝に一時的に導入することで、種々の病態における肝へのストレスを、生体イメージングにより生きたままの状態で経時的にフォローすることが可能となる。 細胞実験:細胞ストレス実験による上記プローブの機能の特異性およびシグナル強度の検証。①上記プローブに関しては、随時マウス非腫瘍性肝細胞株(AML12細胞)をもちいて、プラスミドによりtransient transfectionにより細胞内に導入して、あるいは安定導入株を作製してプローブの有効性を確認する。生体レベルでは、刺激によりベースラインのシグナル強度の5-10倍のシグナルを発する必要があり、細胞レベルでの検討により、上記の如く必要に応じてプローブのデザインを評価・再検討する。細胞実験におけるストレスとしては、以下の実験を検討する。1)酸化的ストレス、2)低酸素、3)高グルコース・ストレス、4)senescence(細胞老化:細胞継代実験により行なう。)。②上記検証実験にて、十分な特異性とシグナル強度をもつプローブに対しては、小動物(肝臓)に導入するために、これらベクターをアデノウイルス・ベクターに組み込む。アデノウイルス・ベクターに組み込まれたプローブをマウス肝に一時的に導入することで、種々の病態における肝へのストレスを、生体イメージングにより生きたままの状態で肝のストレスを経時的にフォローすることが可能となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主として、細胞実験によるプローブ機能の検証・評価に関わる消耗品に使用する。細胞培養関連試薬、培養液、遺伝子導入試薬に関わる消耗品など。 小動物によるプローブの有効性を示すために、マウス購入費用および飼育費用としても使用する。 また、同時に研究打ち合わせのための旅費(札幌-東京間)の費用としても使用する。
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