2012 Fiscal Year Research-status Report
肝切除時におけるリアルタイム肝機能モニタリングシステムの開発と臨床応用
Project/Area Number |
24659604
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
梛野 正人 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20237564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 幸浩 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80378091)
國料 俊男 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60378023)
伊神 剛 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (50420378)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 肝虚血・再潅流 / 一酸化窒素 / 肝障害 |
Research Abstract |
NOモニタリングシステムの基礎的研究:NO donorであるS-nitroso-N-acetyl-l,l-penicillamine (SNAP)を溶解した濃度の異なる溶液を作成し、NOプローベにてNOレベルを測定した。濃度依存的にNOレベル測定が可能であること、同一プローベの複数回の測定など時間耐性においても問題のないことを確認した。 虚血・再潅流に対するNOモニタリングシステムの検討:ラット肝虚血・再潅流モデルでの①異なる虚血時間(5, 15, 30, 60分)による肝組織、② 15分の虚血時間後に異なる再潅流時間(5, 15, 30分)による肝組織でNOプローベを用いてNO濃度変化を測定した。いずれの虚血・再潅流モデルにおいても虚血によりNO濃度が上昇し、再潅流によりNO濃度が減少した。ラット60分虚血/30分再灌流モデルでの検討では虚血によるNOレベルの増加は10分程で定常状態に達し、虚血中高いNO濃度を維持していた。再灌流後NOは減少し、約30分後には虚血前のレベルに回復した。 非特異的NOS阻害剤(L-NAME)投与によるNO濃度の変化について検討した。ラット60分虚血/30分再灌流モデルへの生食投与群では虚血中NOレベルは高濃度を維持し、再灌流後NOは虚血前のレベルに回復した。一方非特異的NOS阻害剤(L-NAME)投与群では虚血・再潅流を通じてほとんどNO濃度に変化を認めなかった。NOの存在確認のためDAF-2DAによる虚血・再潅流後の肝組織の観察を行ったところ、生食群では虚血15分で血管内皮に強くNOの発現が認められるのに対して、L-NAME群では全く発現を認めなかった。以上より虚血・再潅流におけるNOの関与を明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
虚血・再潅流に対するNOモニタリングシステムの検討:ラット肝虚血・再潅流モデルでの異なる虚血時間、15分の虚血時間後に異なる再潅流時間(5, 15, 30分)でのNOプローベを用いたNO濃度変化の検討および非特異的NOS阻害剤(L-NAME)投与によるNO濃度の変化の検討が終了している。またNOの存在確認のためにDAF-2DAによる虚血・再潅流後の肝組織の観察を行い、生食群での血管内皮におけるNOの強発現に対して、L-NAME群ではNOの発現が全く認められず、虚血・再潅流におけるNOの関与を明らかにした。一方で15分の虚血と5分の再潅流を2回繰り返した肝組織と5回繰り返した肝組織、15分の虚血と15分の再潅流を2回繰り返した肝組織と5回繰り返した肝組織など複数回の虚血・再潅流に関する検討が終了していない。虚血・再潅流のメカニズムに関する研究が不十分であり、やや遅れていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
虚血・再潅流に対するNOモニタリングシステムの検討:15分の虚血と5分の再潅流を2回繰り返した肝組織と5回繰り返した肝組織、15分の虚血と15分の再潅流を2回繰り返した肝組織と5回繰り返した肝組織など複数回の虚血・再潅流に関する検討を行う。虚血・再潅流終了後1時間、6時間、12時間、24時間 での肝組織の障害度を生化学検査(ALT,AST,T-Bil,Alp,γ-GTP,ヒアルロン酸, AT-III, Alb etc.)、病理組織 学的検査、TUNEL染色、肝組織中のIL-6, TNF-α, INF-γなど炎症性サイトカインの測定(リアルタイムPCR法、 ELISA)、生体顕微鏡による肝微少循環障害および白血球の接着、遊走について検討し、測定されたNOレベルとの相関を検討する。 虚血・再潅流のメカニズムに関する研究:ラット虚血・再潅流モデルで異なる虚血時間(0,1,3,5,7,10,15,30分)の肝組織、15分虚血・5分再潅流した肝組織と15分虚血・15分再潅流した肝組織を採取する。窒素ガスを注入して無酸素状態を作り、酸素の影響を排除出来る特殊チャンバーを使って厳密なNOSの活性測定を行う。 NOモニタリングシステムの基礎的研究:肝臓の流入血管(門脈)、流出血管(肝静脈-下大静脈)を確保して閉鎖回路内を還流液で循環させる分離肝灌流モデルを作成する。肝臓以外の影響を排除した環境で肝臓にNOプローベを挿入し、肝臓の流入血管にNO donor(SNAP)を投与してNO値を測定する。分離肝灌流モデルを用いてeNOS及びiNOSの阻害剤を投与し、肝組 織内のNOレベルをNOプローベにて測定し、その肝内動態を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
NOプローベの購入費 実験動物の購入費 試薬類の購入費
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