2013 Fiscal Year Annual Research Report
ARFIを用いた肝硬度測定による新たな肝切除安全性指標確立に関する研究
Project/Area Number |
24659605
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
波多野 悦朗 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80359801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上本 伸二 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40252449)
田浦 康二朗 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80378629)
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Keywords | 肝切除 / 肝不全 / 肝切除後肝不全 / ARFI / liver stiffness |
Research Abstract |
肝切除後肝不全(以下PHLF)は肝切除術後の致命的な合併症である。その発生のリスクは、術前の肝予備能と、切除により失われる肝臓の大きさとにより規定される。近年、肝臓の硬さを測定する方法としてARFI(Acoustic Radiation Force Impulse)の有用性が報告され、我々は、術前の肝予備能低下の程度を、肝臓の硬さとして定量的かつ非侵襲的に評価できる可能性に注目した。本研究では、ARFIによる肝硬度測定(以下LS)が、PHLFを予測する因子として有用であるという仮説に基づき検証を行った。 昨年度とあわせて約200例の肝切除患者において、データベースに基づき解析を行った。術前因子として、LS・血液検査項目(血小板数、ビリルビン値、凝固機能など)・ICG消失率、手術因子として、術式・手術時間・出血量のデータを収集した。また、病理検査として切除標本の肝線維化の程度(F因子)を評価し、腹水やその他合併症について術後経過のモニタリングを行った。肝切除により失われる非腫瘍部肝実質体積を、CT volumetryシステム(昨年度より富士フィルムSynapse Vincentを導入)にて測定し、切除後の残肝割合を計算した。主要評価項目はPHLF発生の有無とし、これは国際的な基準(Surgery. May 2011; 149(5): 713-724.)に従い評価した。 結果として、LSは病理結果のF因子を正確に反映し、PHLFの予測に有用な術前因子のひとつであることが、ROC解析にて実証された。さらに正確な予測を行うために、LSとともにPHLF予測に有用と判定された血小板数、総ビリルビン値、残肝割合の計4因子を選択し、多変量解析による統計学的手法を用いて、PHLF発生確率の予測式を導いた。妥当性検証にて、この予測式の正確性と再現性が示唆され、今後臨床への活用に向けて期待される。
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Research Products
(7 results)