2012 Fiscal Year Research-status Report
網羅的メタボローム解析を用いた膵臓癌に関与する代謝反応の解明とその臨床応用
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24659612
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
谷内田 真一 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, ユニット長 (20359920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡野 圭一 香川大学, 医学部附属病院, 准教授 (20314916)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | メタボローム解析 / 膵癌 |
Research Abstract |
平成24年度は、香川大学医学部附属病院で、手術で摘出された膵臓がん検体の余剰凍結試料(がん部と非がん部膵臓)を対象に研究を行った。研究開始にあたっては、香川大学医学部の倫理委員会の承認を得た(承認番:23-29)。まず、それぞれの試料から凍結組織切片を作成し、それぞれが膵臓がん組織と非がん部膵組織であることを確認した。その結果、26例の膵臓がんを研究試料とし、それぞれの凍結組織(60mg)をビーズ式細胞破砕装置を用いてホモジナイズし、フェノール・メタノール法で組織を前処置した。前処置後のサンプルは、慶應義塾大学・先端生命科学研究所(山形県・鶴岡市)に凍結したまま送付した。同研究所では曽我朋義 教授が、高速、高感度のキャピラリー電気泳動・質量分析装置を用いて、網羅的なメタボローム解析を行った。質量分析計では、約200の代謝産物をピークとして認めた。さらに、膵臓がん組織と非がん部膵組織における代謝産物を定量化し、比較した。これらの代謝産物を代謝経路に基づいて、既存のデータベースを用いて代謝マッピングを行っている。糖代謝、アミノ酸代謝、核酸代謝などの低分子代謝産物(未知のものも含む)の解析を進めている。そして、がんの大きさ、分化度、リンパ節転移の有無、術後の経過(生存など)等の臨床・病理学的な因子との比較検討を行っている。術前に18F-FDG-PET検査を行っている膵臓がん症例では、FDGの集積と糖代謝との関連性を、付随研究として検討している。加えて、最近の症例では、術前の血漿を採取しており、組織中の代謝産物と血漿中のそれを比較し、血液中でも検出可能か否かについて解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に、香川大学の26症例の膵臓がん組織のメタボローム解析が終了した。したがって、研究の進み具合は、概ね順調である。現在は、データ解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
これらの研究成果を、さらに多数例の臨床試料を用いて、検討を行う予定である。臨床試料は、現在所属している国立がん研究センターのバイオバンクに保存されている試料を用いる。組織試料を用いて、膵臓がんに特徴的な代謝反応や代謝産物を同定したい。これらの症例における血液の収集を行い、新規の血液バイオマーカー探索や、画像診断装置の開発に応用するための準備を進めている。また、メタボローム解析に加えて、シークエンス解析やマイクロアレイ解析などの多層オミックス解析も行い、代謝産物の変化のメカニズムについても解明したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、さらに多数例でメタボローム解析を行うために、研究試料の採取や保存、メタボローム解析やその他の解析のための研究試薬に研究費を使用する予定である。また、慶應義塾大学・先端生命科学研究所の曽我朋義 教授との研究打ち合わせのための旅費も必要である。
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Research Products
(3 results)