2013 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的メタボローム解析を用いた膵臓癌に関与する代謝反応の解明とその臨床応用
Project/Area Number |
24659612
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
谷内田 真一 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, ユニット長 (20359920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡野 圭一 香川大学, 医学部附属病院, 准教授 (20314916)
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Keywords | メタボローム解析 / 膵臓癌 |
Research Abstract |
平成24年度までに、香川大学医学部附属病院で手術で摘出された膵臓癌(癌部と非癌部膵臓)26症例の余剰凍結組織試料を用いて、網羅的メタボローム解析を慶應義塾大学先端生命科学研究所で行った。 平成25年度は、まず上記の組織中のメタボローム解析の情報解析を行った。その結果、約220の代謝産物を質量分析計でピークとして認めた。癌組織においてグルコース濃度は有意に減少し、組織における糖代謝の亢進が推察された。一方で癌組織において乳酸濃度の有意な上昇を認め、グルコースが好気性解糖系により乳酸の産生を来したと考えられた。 ペントース・リン酸経路は癌組織と非癌部膵組織と比較して有意な差はみられなかった。TCA回路の代謝産物は、いずれも癌部で非癌部膵組織と比較して減少傾向を認めた。アミノ酸解析においては、ほとんどのアミノ酸は、癌部で非癌部膵組織と比較して増加を認めた。さらに膵臓癌の組織に特徴的な低分子の代謝産物、特に中間代謝物を同定中である。 本研究のメタボローム解析の結果、膵臓癌において、癌組織においてグルコースの量が著明に減少し、乳酸の著明な上昇を認めたことより、膵臓癌においてもWarburg効果が証明された。さらに臨床的には、糖代謝の亢進を来していた結果は、膵臓癌における18F-FDG-PET検査の有用性を裏付ける結果であった。 さらに、これらの代謝反応や代謝産物が膵臓癌患者の血液中でも検出可能か否かについて、国立がん研究センターバイオバンクの研究用血漿(22例)を用いて検討中である。これらの患者の対照として、同時期に国立がん研究センター がん予防・検診研究センターを受診した非癌者を年齢と性別をマッチさせて検討中している。
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Research Products
(2 results)