2012 Fiscal Year Research-status Report
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24659616
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
藤田 文彦 長崎大学, 大学病院, 助教 (40380943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山之内 孝彰 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (10448508)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 再生医療 |
Research Abstract |
近年、肛門に近い下部直腸癌に対しても肛門括約筋だけを切除することで肛門を温存する手術が可能となった。しかし、術後の機能低下が問題となっている。本研究では、再生医療を用いた肛門機能改善を目的とする。すなわち、患者自身の脂肪組織から脂肪幹細胞を抽出し、肛門機能を担っている平滑筋を再生させる研究である。 平成24年度;ラットにおける脂肪組織由来幹細胞の採取・培養実験;in vitro まず、in vitroにおいて脂肪組織由来幹細胞の存在を確認する。ラットの腹腔内腎臓周囲や鼠径部より脂肪組織を採取し、脂肪組織由来幹細胞を精製分離してコントロール培地内で増殖させる。これをフローサイトメトリーにてCD34、CD44、CD90を測定し、脂肪由来幹細胞の存在を確認する。 平成25年度;ラット排便機能障害モデルの作製・脂肪由来幹細胞移植実験 ラットによる排便機能障害モデルはラットの肛門括約筋を切除することで作製する。ラットに全身麻酔をかけ、尾部の所より切開を加え、肛門括約筋の切除を行う。術後から1週間間隔で麻酔をかけた上で、直腸内に内圧測定用のトランスデューサーを挿入して肛門内圧を測定し、正常ラットと比較する。次のステップとして、このモデルの肛門括約筋切除部に脂肪由来幹細胞を注入して、肛門内圧および排便障害の改善を観察する。また、約2週間の観察を行った後、ラットを犠牲死させ、肛門周囲組織の病理組織学的に筋肉の再生を調べる。 平成26年度;肛門括約筋切除術後の排便機能障害患者に対する自己脂肪組織由来幹細胞移植 肛門温存手術(肛門括約筋切除)施行患者に対して術後3か月~半年後に肛門機能検査を行う。排便機能が低下していると判断された場合は、十分にインフォームドコンセントを行った上で同意を得られた患者に対して細胞移植を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラットにおける脂肪組織由来幹細胞の採取・培養実験では、まず、in vitroにおいて脂肪組織由来幹細胞の存在を確認した。ラットの腹腔内より脂肪組織を採取し、脂肪組織由来幹細胞を精製分離して培地内で増殖させ、CD34、CD44、CD90を測定し、脂肪由来幹細胞の存在を確認することができた。 ラットによる排便機能障害モデルはラットの肛門括約筋を切除することで作製し、直腸内に内圧測定用のトランスデューサーを挿入して肛門内圧を測定して正常ラットと比較した。約1ヶ月にわたり肛門内圧が低下した肛門機能不全ラットを作製することができた。また、このモデルの肛門括約筋切除部に脂肪由来幹細胞を注入して、肛門内圧および排便障害の改善を観察している。
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Strategy for Future Research Activity |
肛門機能不全ラットの肛門部に脂肪幹細胞を注入し、肛門内圧の変化を観察する。また、このラットを犠牲死させ、肛門周囲の組織を観察し、肛門括約筋が再生されていることを確認する。 その後、臨床研究へ発展させる予定である。肛門温存手術(肛門括約筋切除)施行患者に対して術後3か月~半年後に肛門機能検査を行う。排便機能が低下していると判断された場合は、十分にインフォームドコンセントを行った上で同意を得られた患者に対して脂肪幹細胞移植を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究には、引き続き動物実験に関する費用が主となる。肛門内圧測定機器に関しては、圧センサーのついた圧測定器が必要である。このトランデューサーの先端は数回使用すると使えなくなるため、その分のランニングコストがかかる。また、ラットに関しては、初年度の結果に対する再現性を検証するため、1年間30匹は必要と考える。また、初年度の研究結果から、ドナー由来の組織が再生している、ということを検証する必要が出てきたため、ラットの種を変更する必要が出てきた。すなわち、ラットの組織がマーキングされている必要があるため、割高なラットということになる。 さらに、平成26年度は、主に臨床応用を行う予定である。臨床においてはほとんどが保険診療内で行われる医療行為であり、それに準じた費用配分が必要である。 また、初年度では、研究発表および論文作成を行った。引き続き今後の成果をまとめ、学会および論文発表を行う予定である。そのための旅費・謝金などが必要となる。
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Research Products
(2 results)