2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24659616
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
藤田 文彦 長崎大学, 大学病院, 助教 (40380943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山之内 孝彰 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (10448508)
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Keywords | 再生医療 / 肛門機能不全 / 脂肪幹細胞 |
Research Abstract |
近年、肛門に近い下部直腸癌に対しても肛門括約筋だけを切除することで肛門を温存する手術が可能となった。しかし、術後の機能低下が問題となっている。本研究では、再生医療を用いた肛門機能改善を目的とする。すなわち、患者自身の脂肪組織から脂肪幹細胞を抽出し、肛門機能を担っている平滑筋を再生させる研究である。 平成24年度;ラットにおける脂肪組織由来幹細胞の採取・培養実験;in vitroにおいて脂肪組織由来幹細胞の存在を確認した。ラットから脂肪組織由来幹細胞を精製分離してコントロール培地内で増殖させ、これをフローサイトメトリーにてCD34、CD44、CD90を測定し、脂肪由来幹細胞の存在を確認することができた。 平成25年度;ラット排便機能障害モデルの作製・脂肪由来幹細胞移植実験;ラットによる排便機能障害モデルを作製した。ラットを全身麻酔下に尾部の所より切開を加え、肛門括約筋の切除を行ったモデルを作製。直腸内に内圧測定用のトランスデューサーを挿入して肛門内圧を測定したところ、約4週間にわたって肛門内圧の低下を認めた。続いて、このモデルの肛門括約筋切除部に脂肪由来幹細胞を注入して、肛門内圧の改善を観察する。また、ラットを犠牲死させ、肛門周囲組織の病理組織学的に筋肉の再生を調べる。 平成26年度;肛門括約筋切除術後の排便機能障害患者に対する自己脂肪組織由来幹細胞移植;肛門温存手術(肛門括約筋切除)施行患者に対して術後3か月~半年後に肛門機能検査を行う。排便機能が低下していると判断された場合は、十分にインフォームドコンセントを行った上で同意を得られた患者に対して細胞移植を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度にラットにおける脂肪組織由来幹細胞の採取・培養実験に成功し、脂肪由来幹細胞の存在を確認することができた。また、ラットによる排便機能障害モデルも作製することができ、約4週間にわたり肛門内圧が低下した肛門機能不全ラットを作製することができた。このモデルを利用して肛門括約筋切除部に脂肪由来幹細胞を注入したところ、シャム手術郡と比較して肛門内圧の上昇が認められた。この点において、研究は順調に進んでいると言える。その後、ラットを犠牲死させ、肛門周囲組織を病理学的に検索したところ、繊維組織を中心とした組織の存在は認めたが、それが平滑筋組織なのか否か確認できていない。さらに、ドナー由来の組織なのか、あるいは元々のレシピエントにあった組織なのか判断できない状態である。 そこで、現在は脂肪幹細胞をどのように組織に正着させ、その部分を正確に同定してどの組織に再生しているか。さらには、ドナー由来の組織であることを証明すべく研究をすすめており、その分だけ、予定より遅れていると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、脂肪幹細胞を分離培養して、注射器で直腸周囲へ注入する方法をとっていた。しかし、これではどの部分へ正着したのか判断するのが困難である。そこで、直腸周囲へ数カ所注入場所を数カ所あらかじめ決定し、その部分へ注入することで部位の同定を試みることにした。また、脂肪幹細胞をシート化し、直接貼付する方法も試みる予定である。さらに、ドナー由来の組織であることを証明するため、ドナーにgreen ratを使用し、組織をGFP蛍光染色で調べるなどの方法をとる予定である。 最終的には移植された幹細胞が平滑筋組織になることが理想的であるが、それについても染色などにより証明し、その後、臨床研究へ発展させる予定である。肛門温存手術(肛門括約筋切除)施行患者の中で排便機能が低下している患者を対象に、十分なインフォームドコンセントを行った上で同意を得られた患者に対して脂肪幹細胞移植を行うことを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本来、臨床応用に向けての準備をするために予定していた金額だが、前記理由のため研究計画が遅れており、そのため次年度使用額が生じた。 モデルラットの種類を変更する為、ラットの金額が多少高額となる。また、脂肪幹細胞の培養を行う血清培地も変更する為、これに研究資金が必要となる。さらに、green ratを使用するモデルは他大学(名古屋大学)で行っており、また、同大学泌尿器科にて同様の臨床応用を計画中であるため、その見学等に出張数が増加する可能性がある。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] A novel animal model of long-term sustainable anal sphincter dysfunction.2013
Author(s)
Yamaguchi I, Fujita F, Yamanouchi K, Mishima T, Kawahara D, Sakai Y, Ito S, Kanetaka K, Takatsuki M, Kuroki T, Eguchi S.
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Journal Title
J Surg Res
Volume: 184
Pages: 813-818
DOI
Peer Reviewed
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