2012 Fiscal Year Research-status Report
脳死肺移植における新規ドナー肺モニタリングシステムの開発
Project/Area Number |
24659624
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野田 雅史 東北大学, 大学病院, 講師 (70400356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 丘 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (10195901)
佐渡 哲 東北大学, 大学病院, 助教 (20396485)
岡田 克典 東北大学, 加齢医学研究所, 准教授 (90323104)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 肺移植 / 肺胞水分吸収 / イオンチャンネル / マイクロサンプリング |
Research Abstract |
本研究は動物肺移植モデルを用い非侵襲的にマイクロサンプリングシステムを応用した経時的肺viabilityモニタリングシステムを開発することである。 本年度は肺移植後に肺胞上皮を介した水分輸送能が保持されるかを検討するため、まず予備実験としてラット肺移植モデルを用い、in vivoラット麻酔換気下による肺胞水分クリアランスの測定を行なった。体重300-350gのSprague-Dawley系雄性ラットに腹腔麻酔後、気管切開、頚動静脈カニュレーションを行い、小動物ベンチレータを装着して、純酸素換気下に安定後、45度挙上側臥位とし、気管切開孔を通じ、4ml/kgの肺胞注入液(150mM Na+,5.5mM K+,1.9mMCa2+,1.3mM Mg2+,28mM lactate-,5.5mM グルコース,5g/dL ウシアルブミン) を注入した。一時間後尾部を挙上させ肺胞注入液を自然流出させ回収し、肺胞水分クリアランスの解析に用いた。In vivoコントロール群ではalveolar fluid absorption は125±7μl/h、アミロライド投与群(Na+channel inhibitor)71±17μl/h 、テルブタリン投与群(βstimulator)220±30μl/h、片肺移植群では150±7μl/hであった。以上より肺移植後にも肺胞上皮を介した水分輸送能は保持され、この水分輸送能はβ受容体を介したNa+channelエントリーに伴う能動的水分輸送である可能性が示唆された。現在ラット様マイクロサンプリングチューブを作成し、in vivoラット麻酔換気下モデルを用いた肺胞水分クリアランスの測定を行っている。これと並行して、ブタ肺移植モデルを作成し、臨床で既に用いられているマイクロサンプリングチューブを用いた肺胞水分吸収の測定を行っている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
家畜ブタを用い、全身麻酔後、気管支鏡下にマイクロサンプリングプローブを用い任意の気管支3ヶ所に気管支鏡下に気管支をwedgeし気道上皮被覆液を採取する(control群)。続いて、気道内より微量(0.5ml/kg以下)の肺胞被覆液(150mM Na+, 5.5mM K+, 1.9mM Ca2+, 28mM lactate-, 5,5mM glucose, 5g/dl Albumin, 315mOsm/L, PH6.8) を含むマイクロサンプリングプローブを同部位の選択した気管支末梢3ヶ所に接触させ、30分後、1時間後、マイクロサンプリングプローブを用いて気道上皮被覆液(ELF)回収し、データの解析を行なった。現在ブタの肺移植モデルを作成中であるが、手技が安定しないことなどから、その先のマイクロサンプリングによる肺移植モデルの解析には至っていない。但し、予備実験としてラット用のマイクロサンプリングプローブを作成して、ラット肺移植モデルを作成し、同様の評価を行なったところ肺胞水分吸収の評価は可能だった。引き続き、ブタを用いた移植モデルの安定した作成を行い、マイクロサンプリングによる気道上皮被覆液の解析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
家畜ブタを用いた肺移植モデルを作成し、マイクロサンプリングによる肺胞水分吸収の評価を行う、これと並行して、クラウン系ミニブタまたは、ラット肺移植モデルを作成し、肺胞水分吸収量の測定を行う。更に肺胞水分吸収能がNa+channelを介した機能であることを証明するため、肺胞被覆液にNa+channel阻害剤アミロライド(10-4M)を添加した実験、βアゴニストによる肺胞水分吸収の効果を確認するためβ刺激剤テルブタリン(10-3M)を添加した実験、グルココルチコイドによる肺胞水分吸収の効果を検討するためデキサメタゾン(0.2mg/kg)を添加した実験を行う。また同時期のマイクロサンプリング部位と離れた部位の肺組織TBLBを行い、肺組織RNAのisolation 及びRT-PCRからepithelial Na+channels (ENaC) mRNA level、αβγENaC mRNA levelの測定を行う。予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度残額については、ブタ移植モデル作成に時間を費やしたため、本モデルを用いた研究に関わるマイクロサンプリングチューブ購入費これに伴う薬品が未購入であった。これに関しては翌年に繰り越して使用予定である。CLAWN系ミニブタは、近交系集団で、小型且つ6ヶ月齢(約15kg)で臓器が成熟するため、臓器移植実験に適合している。耳介が大きく、正確が温厚なため、頻回採血等も含めたモニタリングにも適している。但し、CLAWN系ミニブタは高価であるため、当面は、自家肺移植2例と通常の肺移植1例(ドナー1例、レシピエント1例)のみで合計4頭の実験を行う予定である。手技確立を主目的とした実験については、家畜豚を用いてさらに実験を行う予定である。 検体採取に必要なマイクロサンプリングチューブについては、1頭あたり1回のサンプリング(最低3ヶ所のサンプリングをcontrolと対象部位)に合計6ヶ所のチューブが必要となる。これを時系列で移植前、摘出後、再還流後、移植後早期、移植後遠隔期にそれぞれサンプリングが必要と考えると、30本のサンプリングチューブが必要となる。従って、1箱(3本×10パック)が1頭当たり必要と考える。よって実験エラーも考慮し8箱必要である。更に肺組織RNAのisolation 及びRT-PCRからepithelial Na+channels (ENaC) mRNA level、αβγENaC mRNA levelの測定を行うため、これらの試薬が必要である。
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