2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24659628
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 達雄 京都大学, 再生医科学研究所, 准教授 (70227908)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 気道再建 / 人工気管 / コラーゲン / iPS細胞 / 組織工学 / 再生医療 / 胸部外科学 / ビーグル犬 |
Research Abstract |
本研究の目的は、世界に先駆けて樹立したビーグル犬iPS細胞を自己組織再生型人工気管に応用し、気道を再建する新しい手術術式を確立することである。 既に自己組織再生型人工気管は頚部気管の再建に使用されている。そこで本研究では臨床応用を視野に、呼吸器外科領域の縦隔内で使用出来るように、早期の組織化と内面の上皮がiPS細胞で可能かどうか評価する。ビーグル犬iPS細胞を用いた組織工学による再生研究は、これまでに例がなく極めて挑戦的な研究である。 そこで、本年度はビーグル成犬からのiPS細胞の樹立をすべく、遺伝子導入などiPS細胞樹立を目指した。しかし、胎児細胞からのiPS細胞作成に比較すると、成犬からの樹立は困難を極め、未だに成功できていない。この原因としては、一旦iPS化した細胞の初期化状態の維持が難しく、この至適な条件が解明されていないことが考えられる。すなわち形態的にリセットされた細胞が培養を続けると分化して未分化状態を維持できない。これがマウスやヒトiPSのようにES細胞系のデータが十分にある動物種との違いであろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画通りに進展していないのは、イヌiPS細胞の初期化維持、培養条件が解明されていないため、iPS化した細胞を未分化能を維持したまま培養増殖させることができないからである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はビーグル成犬から作製したiPS細胞を分化させることなく維持、増殖させうる培養条件を解明することにする。具体的には増殖因子や低分子化合物のうち、初期化状態の維持に強力に働きそうな物質を加え、様々な割合で濃度を振った培地を検討することにする。 1.レトロウイルスフリーのRNA法によるビーグル犬iPS細胞の作製 iPS細胞を再生医療に用いるには、現在のレトロウイルスを用いる手法で作ったiPS細胞は安全性の面で問題がある。そこで、レトロウイルスフリーのiPS細胞をビーグル犬においても樹立することが必要である。未分化能の維持に関する至適培地を作成する。 2.PS細胞とサイトカイン並びにADCによる上皮形成促進実験(中村) 組織化を促進すると考えられるiPS細胞とサイトカイン(TGF-b, b-FGF, HGF)を代用気管のマトリックス部分に複合化する技術を開発する。これまでの我々の研究で脂肪由来の幹細胞(ADC)は、遺伝子組み換えを行っていないという利点があるだけでなく、高い分化能と増殖性を有することが判明した。このADC細胞を併用することにより、人工気管の自己組織化、上皮化が飛躍的に向上するのではないか検討する。 3.血管柄つき遊離大網移植術式の完成(中村) 再建部周囲に血流が乏しく組織化が遅れると生命に関わる症例にはあらかじめ大網内に埋殖して組織させた代用気管を用いる術式の方が安全と考えられる。そういった術式にも対応できるような新しい人工気管手術を完成させる。ビーグル犬を使った動物実験で気管の生着率と狭窄の出現率、血管造影で動脈のpatencyも検討する。 4.動物実験で代用気管を埋め込んだビーグル犬を屠殺して安全性・効能・病理組織・再建部気管の物性解析をおこない評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(24 results)