2012 Fiscal Year Research-status Report
次世代シークエンサーを用いた拡張型心筋症の遺伝子解析
Project/Area Number |
24659630
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平 将生 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (90624651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西 宏之 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00529208)
吉川 泰司 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40570594)
福嶌 五月 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80596867)
齋藤 充弘 大阪大学, 医学部附属病院, 講師 (20448038)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 拡張型心筋症 / ゲノム解析 |
Research Abstract |
拡張型心筋症(DCM:dilated cardiomyopathy)は左室あるいは左右の両心室の心筋収縮の低下とその内腔の拡大を特徴とする疾患である。症状は、通常心不全に基づく症状や所見があり、しばしば進行性である。不整脈、血栓塞栓症、突然死の合併が高頻度にみられる。長期的には予後不良である。病因は、特発性、家族性(遺伝性)、ウイルス感染症、遺伝的素因、免疫異常、全身性疾患、代謝性疾患、高血圧・アルコール・薬剤・妊娠・中毒など複数の病因が考えられている。本症の病理所見(組織の顕微鏡所見のこと)は非特異的である。肥大型心筋症と異なり、家族性発症の頻度は高くなく。遺伝的な要素は少ないと考えられている。家族性拡張型心筋症は米国で20%、日本で25%と報告されている。家族性拡張型心筋症の約10-25%が メンデルの方式に従うが、残りの大部分は家族歴がないか、家族性でもメンデルの方式に従わない孤発性である。遺伝的素因以外で重要と考えられている病因の一つがウイルス性心筋炎であるが、一方で、原因が不明な症例も数多く存在する。そこで、本研究では、次世代シークエンサーを用いて高次のゲノム解析を駆使することで、未だ原因が不明な拡張型心筋症の発症メカニズムを解明すると共に、拡張型心筋症に対する新たな治療法・創薬ターゲットの開発に展開する。孤発性の拡張型心筋症の患者の心筋組織とそれ以外の組織について次世代シークエンサーを用いて一塩基多型や非コードRNA、メチル化の比較検討を行なう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの拡張型心筋症の疾患データをもとに、本研究計画に適した被験者の基準を検討した。さらに、次世代シークエンサーを用いて一塩基多型や非コードRNA、メチル化のデータを収集するための基礎的技術を習得した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の実現に必要な研究を、2年間通して実施する。具体的には、孤発性の拡張型心筋症の患者の心筋組織とそれ以外の組織について次世代シークエンサーを用いて一塩基多型や非コードRNA、メチル化の比較検討を行なう。解析データが大量になるため、バイオインフォマティクスの研究者の協力を仰ぎ、効率よく解析を進めていく。次世代シークエンサーを用いた疾患原因解明は、ガン、認知症、糖尿病などの分野では先行しており、新規の疾患原因や創薬ターゲットも発見されている。この手法を、拡張型心筋症に応用することで、未だ原因不明の拡張型心筋症の新規治療法の開発や創薬開発が加速されることが期待される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続き、次世代シークエンサーを用いて一塩基多型や非コードRNA、メチル化のデータを収集する。収集データ数については、統計学的考察可能な範囲で最大限取得でいるよう勤める。データの解析の結果、抽出された疾患原因候補については、サンプル数を拡大し詳細な解析を実施し、解析の精度を上げることで、疾患原因候補を明確にする。
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