2012 Fiscal Year Research-status Report
ステントグラフトの細径化 拡張部材の布帛への熱融着縫合固定法の開発
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24659638
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
野一色 泰晴 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (60033263)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ステントグラフト / 縫合糸 / 熱融着 / ポリエステル |
Research Abstract |
①斬新なアイデア・チャレンジ 我が国の医療用具、特にクラスIVの体内永久植え込み用医療用具における開発の遅れを取り戻すきっかけを作ることに挑戦した。 具体的には、ポリエステルは医療に多用されている。特殊な芯鞘構造を持つポリエステルの熱融着性マルチフィラメントは工業用に開発された我が国の最先端技術である。それを医療用に改良する。ステントグラフトの縫着のみならず、人工心臓弁の台座や枝付き人工血管の如く、ポリエステル繊維を用いた医療用具は広く使用されているが、それらには縫着工程が必須であり、その緩みに対しては極めて慎重な作業が行われているが、常に緩みの危惧がある。その問題を熱癒着で解決する工夫を行った。本技術は世界でまだ知られていないが、ステントグラフトで有用性を実証すれば、植え込み用医療材料すべてに適用可能なことが証明され、この領域に新しい世界基準ができると期待した。 実際に縫合を行った場合、拍動を伴うステントグラフトのような場では緩む危険性がある。本アイデアの熱融着性縫合糸を用いると、結紮部が熱融着し、緩むことはない。現実的には、ステントグラフト縫着の場を用いてその効果を検証した。その結果、本技術を用いることにより簡便でも緩まず、細いシースに挿入可能となった。更には、予めステントグラフト布帛に熱融着糸を縦糸として組込んでおけば、布帛内に根を張ったような強固な縫着となり、ニチノール線材はズレを生じないことも判明した。 本年度は、具体的に極細のポリエステル繊維を用いたステントグラフト用の布帛を作成し、それにニチノール線材で螺旋状ステントを作成し、本研究で開発した熱融着性縫合糸を用いて逢着した。その結果、グラフト内径45mmのステントグラフトを12フレンチのシースに通すことに成功したのみならず、解れが全く生じないことも実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
問題点を一つ見出した。熱融着性ポリエステル繊維をある企業から入手し、動物実験を行ったところ、一般的なポリエステル繊維では生体内で異物反応を全く示さないにも関わらず、その繊維に対しては、肉眼的には問題なかったが、光学顕微鏡レベルでは異物性巨細胞が繊維周囲に集まると言った中程度の異物反応が見られた。おそらく低温で熱融着性を発揮させるために、ポリエステル繊維に何かを混在させ共重合体を作っていると、我々は推察した。そこでその繊維を作成している企業に問い合わせたところ、企業秘密と言うことで、繊維の組成に対しては開示されなかった。この点が、当初予定していたところと異なる結果となった。それ以外の目標に対しては、全て順調に進んでいる。 問題点解決のため、現在、我が国の大手繊維メーカーと交渉中である。我が国の医療分野の遅れを取り戻すため、大企業にも努力をして貰うつもりである。そのステップとして5月中旬にその企業の首脳陣と会合を開くことまでこぎ着けた。この交渉が成功裏に進み、我が国の医療分野、特に体内への永久的植え込み材料分野にも進出してくれるきっかけを作りたいと期待している。このことは、本研究を完成させる以上に重要な事と私は考えている、
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Strategy for Future Research Activity |
前述した問題点を、次年度で解決するつもりである。具体的には、まず第一に、熱融着性ポリエステル繊維を我が国の大手繊維メーカーで製造して貰うように働きかけを行う。繊維メーカーでは衣服用には熱融着性の繊維を製造している実績があるので、その製造工程の一部を改良し、医療用にも使用可能な繊維の製造をお願いし、共同開発を行う。 第二の手段としては、繊維を作る能力のある大学工学部に共同研究を持ち込み、効率が悪いかもしれないが、そこで熱融着性繊維を作成して貰う。そのためには、繊維設計を変更する必要があるが、そのための秘策は既にできている。 このようにして開発した熱融着性繊維を用いてステントグラフト若しくは人工血管を作成し、動物実験で異物反応を示すかどうか、確認する。異物反応が見られなければ、それを用いた医療材料の設計に応用する。 これ以降の計画は、当初の立案通りである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度の研究費使用実績では、当初計画した研究予算と比べて122,415円の繰り越しとなった。その理由は、動物実験を実施するにさいし、動物実験センターのケージ空きスペースの関係で、動物搬入が計画より遅れたため、実験棟数を減じざるを得なかったためである。この遅れは6月には取り戻せる計画となっている。 次年度の研究費の使用計画は、研究に必要な物品等はほぼ揃っている。そのため資料整理等の人件費に使用する予定である。
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