2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24659640
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
青木 浩樹 久留米大学, 循環器病研究所, 教授 (60322244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 恭子(今中恭子) 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00242967)
吉村 耕一 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00322248)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 大動脈 / 発生学 / 血管平滑筋 / メカノストレス |
Research Abstract |
本研究は、ストレスによるテネイシンC発現が大動脈解離の阻止機構であるとの申請者の知見に基づき、その発現制御メカニズムから大動脈解離の分子病態に迫ろうとする計画である。ストレス下の大動脈におけるテネイシンCの発現パターンは心臓神経堤細胞の分布とほぼ一致することから、ストレスによる発現応答が血管平滑筋細胞の発生起源により異なるとの仮説を立てている。 H24年度は発生中の大動脈原基である鰓弓動脈におけるテネイシンC発現の経時的変化を明らかにすることに注力した。鰓弓動脈が形成と消失を繰り返す中で、テネイシンCの発現が予想以上にダイナミックに変化していることを見いだした。 同時に、大動脈弓部付近で解離が起こるモデルの確立にも取り組んだ。当初、胸腔アプローチにより胸部大動脈に塩化カルシウムを塗布し大動脈硬化を惹起するモデルを試みたが、手術手技が煩雑で生存率も低かった。最近の報告に基づき、リジン酸化酵素(コラーゲン架橋酵素)阻害薬βアミノプロピオニトリルとアンジオテンシンIIをマウスに投与し、弓部付近に大動脈解離を高率に発症する投与量と投与スケジュールを決定した。解離発症部位は左鎖骨下動脈付着部位と動脈管索付着部位を結ぶ線の前後であった。この部位は、ストレス下におけるテネイシンC発現が大きく変化する部位であり、また心臓神経堤細胞由来の平滑筋細胞と体節由来の平滑筋細胞が接する部分でもある。 以上より、発生学上のテネイシンC発現パターンを明らかにし、着目部位である大動脈弓部に再現性良く解離を発症するモデルを確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定に沿って発生学上のテネイシンCの発現パターンを明らかにすることができた。また、本研究で着目する大動脈弓部の解離について、当初の計画より簡便かつ再現性の高いマウスモデルを確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
胸部大動脈に解離を発症するモデルについて、当初予定していたモデルより簡便な系を確立した。このモデルの解離発症部位は本研究の仮説に合致しており非常に有用なモデルと考えられる。これにより、テネイシンCの発現および血管平滑筋の発生起源と、解離発生部位との関連を明らかにする実験が加速される。 次年度は、心臓神経堤細胞のレポーターマウスおよびテネイシンCのレポーターマウスを用いて、血管平滑筋の発生起源によるテネイシンCの発現制御と大動脈解離の関連を明らかにして行く予定である。 近年の報告から、機械的ストレスによるテネイシンCの発現は、アクチン線維形成を介した転写補因子MRTF-Aの活性化で制御されることが提唱されている。H25年度は、この知見が大動脈平滑筋細胞で作動するか、即ち機械的ストレスによるテネイシンC発現にMRTF-Aが関与するかを主に培養細胞を用いて明らかにする。また、大動脈の部位および血管平滑筋の発生起源によるMRTF-A活性の相違やストレスに対する活性化応答に着目して研究を進める。MRTF-Aによる発現制御と大動脈解離の関連を明らかにすることにより、解離の分子病態を当初の計画よりさらに明らかにすることが可能である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
弓部付近に解離を発症するモデルとして、βアミノプロピオニトリルとアンジオテンシンIIをマウスに投与する系が有効であることを明らかにした。当初予定していたモデル(胸部大動脈に塩化カルシウム塗布)と比較して簡便であり再現性も高いことから、モデル開発に必要な経費を節減できた。H25年度には平滑筋の発生起源とテネイシンC発現制御の関連を明らかにするために、各種レポーターマウスおよび培養細胞を用いる実験を予定しており、これらに予算を使用する。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Macrophage-derived angiopoietin-like protein 2 accelerates development of abdominal aortic aneurysm2012
Author(s)
Tazume, H., K. Miyata, Z. Tian, M. Endo, H. Horiguchi, O. Takahashi, E. Horio, H. Tsukano, T. Kadomatsu, Y. Nakashima, R. Kunitomo, Y. Kaneko, S. Moriyama, H. Sakaguchi, K. Okamoto, M. Hara, T. Yoshinaga, K. Yoshimura, H. Aoki, K. Araki, H. Hao, M. Kawasuji, and Y. Oike
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Journal Title
Arterioscler Thromb Vasc Biol
Volume: 32
Pages: 1400-1409
Peer Reviewed
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[Journal Article] Cardiomyocyte-specific transgenic expression of lysyl oxidase-like protein-1 induces cardiac hypertrophy in mice2012
Author(s)
Ohmura, H., H. Yasukawa, T. Minami, Y. Sugi, T. Oba, T. Nagata, S. Kyogoku, H. Ohshima, H. Aoki, and T. Imaizumi
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Journal Title
Hypertens Res
Volume: 35
Pages: 1063-1068
Peer Reviewed
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[Presentation] Tenascin C protects aorta from acute dissection in mice2012
Author(s)
Aoki H, Kimura T, Yoshimura K, Shiraishi K, Imanaka-Yoshida K, Yoshida T, Ikeda Y, Miyamoto T, Ueno T, Hamano K, Hiroe M, Aonuma K Matsuzaki M, Imaizumi T
Organizer
American Society for Cell Biology 2012 Annual Meeting
Place of Presentation
San Francisco, CA, USA
Year and Date
20121215-19
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