2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24659649
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
元野 誠 京都大学, 再生医科学研究所, 研究員 (30619622)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | グリア細胞 / ドパミン神経細胞 / 共培養 |
Research Abstract |
胎児中脳腹側部位はパーキンソン病の細胞移植治療用の細胞となりうる細胞で、欧米で研究がされており、一定の効果が報告されている。パーキンソン病の細胞移植治療法で有効であるドパミン産生神経細胞を移植すると、患者の脳内で生着し、機能することも確認されている。しかし、生着する数が非常に少ないことが問題となっている。そこで、神経細胞を補助すると考えられているグリア細胞、特にアストロサイトに着目して研究を行った。 まず、細胞移植治療用に使用されている胎児中脳腹側部位を解析した。この部位にはグリア細胞を示すGFAP陽性細胞は見られなかったが、グリア細胞の前駆細胞を示すGlast陽性細胞を確認した。このGlast陽性細胞をセルソーターで分離することができたが、E11のマウス胎児中脳腹側部位の全細胞数の10-15%(細胞数として1胎児脳あたり10000細胞)であった。この分離した細胞と分離しない細胞をグリア細胞へと分化させるための培地で培養したところ、神経細胞を示すTuj1陽性細胞は観察されず、どちらも全細胞数の40-50%でグリア細胞を示すGFAP陽性細胞に分化させることができた。しかし、Glastで分離させた細胞は分離過程を経ているため、得られたGFAP陽性細胞数が分離しない細胞と比べて非常に少なかったため、以後は分離しないで実験を進めた。 次にこの分化させたグリア細胞の機能を調べた。胎児中脳腹側部位から分化誘導した細胞とマウスES細胞から分化誘導したドパミン前駆神経細胞を14日間共培養を行ったところ、ドパミン前駆神経細胞のみの培養と比べて、ドパミン神経細胞を示すTh陽性細胞数が2-3倍増加していた。したがって、胎児中脳腹側部位から誘導した細胞にドパミン前駆神経細胞の生存あるいは分化を促進させる機能があることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスの胎児中脳腹側部位の初代培養からグリア細胞への分化誘導に成功した点や分化誘導したグリア細胞の機能の有効性を示せたところまでは順調に進んでいる。しかし、神経細胞と共培養した後に電気生理学な解析をする予定であったが、まだこの解析ができないでいる。技術的なことなので、電気生理学解析をしている方に相談しながら、進めていく予定である。また、グリア細胞とES細胞から分化した細胞を共培養することで細胞移植するときに懸念される未分化細胞が混入してくる可能性がでてきて、この未分化細胞を混入しないように分化誘導を工夫する必要が出てきた。 また、移植するときに、移植した細胞が区別できるようにレンチウイルスベクターでマーキングをすることにも成功したが、すべての細胞にマーキングできているわけではなかった。マーキングできた細胞だけを選別する必要があるか、また、Hoechstなどウイルスベクターを利用しないでマーキングする方法を今後検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
胎児中脳腹側部位の初代培養により、40-50%の割合でアストロサイトへの分化誘導はでき、さらにドパミン産生神経細胞との共培養により、機能の有効性を確認でした。しかし、神経細胞を示すTuj1を発現する細胞は見られなかったが、未分化な神経細胞を示すNestinが発現している細胞が観察された。また、胎児中脳腹側部位から誘導した細胞とES細胞から分化誘導した細胞を共培養したところ、ES細胞様の細胞も観察された。もし、この状態の細胞を脳内に移植すると細胞が癌化する可能性がある。そこで、グリア細胞と神経細胞を共培養してもES細胞様の細胞が観察されないようにES細胞からドパミン産生神経細胞を誘導する方法を工夫する必要がある。分化誘導する日数を延ばしたり、セルソーターで選別することを検討している。 当初、平成25年度にパーキンソン病のモデルラットに移植することを計画していたが、本研究室の別の課題でラットを使用し、施設の関係上、ラットを使用する実験は困難である。そこで、マウスを使って、グリア細胞の有効性を示していくことを計画している。また、動物愛護の観点から、マウスの胎児腹側部位の初代培養を利用するのではなく、ES細胞から分化誘導したグリア細胞で実験が進められるように、ES細胞からグリア細胞を分化誘導する方法を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(1 results)