2012 Fiscal Year Research-status Report
脳神経外科ナビゲーション手術でのブレインシフト補正ソフトウェアの開発
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24659654
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
三國 信啓 札幌医科大学, 医学部, 教授 (60314217)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 脳神経外科手術 / ニューロナビゲーション / ブレインシフト |
Research Abstract |
脳神経外科手術を安全かつ効果的に行うために脳機能の局在同定・モニタリングによるその温存は極めて重要である.実際には術前に機能的MRI,拡散テンソル画像によるトラクトグラフィーおよび3D-CTを含めた詳細な画像評価を行う.これらの画像情報をニューロナビゲーションシステムに取り込み,脳機能部位と病変との位置関係を術中表示する.術中にはこの位置情報を参考にして運動誘発電位,体性感覚誘発電位,さらに覚醒下手術による脳機能評価を行う.ニューロナビゲーションシステムは最近実用可能となって以来,急速に普及して標準的脳神経外科手術機器となった.このシステムの現在解決するべき最大の問題点は術中の脳変位(ブレインシフト)による術前画像と術中の実際の脳組織の位置情報のずれである.脳表のブレインシフトの検出は,脳表の目印となる点を術前後にポインターで計測する方法,顕微鏡の焦点距離で計測する方法や脳表画像の変化で計測する方法などが報告されている.これらは脳表の脳変位のみを捕捉するものであるが,脳機能線維連絡を考慮すると,脳深部の変位を捕捉し補正することが重要である.従来の補正の方法としては,大きく分けて術中画像を用いた補正と非線形モデルによる幾何学的な補正の二通りの方法が報告されているが臨床応用には様々な困難があり普及されていない。本研究では,開頭手術における脳表のブレインシフトの検出を行い先ずブレインシフトとそれに影響する因子を検討した.次に術中CTとニューロナビゲーションシステムを用いたブレインシフトモデルを作成し,脳表の位置座標を取得することで脳深部組織の画像を変形したところ,補正画像と術中CTによる画像の形態学的な比較で高い一致率を得ることができた.本研究の成果により新たに考案したモデルを用いることで術前脳解剖・機能画像を術中に簡便に補正し,より安全かつ効果的な手術が可能となると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は当初の予定通り順調に進展しており、今後の継続に支障ない.
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Strategy for Future Research Activity |
ブレインシフトモデルの作成にあたっては術中CT撮影の必要があることから制限があり,今回は4例のデータから作成した.形態学的な検証では術前CTの補正画像と術中CTの比較で高い一致率を得ることができた.今後症例を増やしてモデルの精度を高める.また、腫瘍摘出を伴う症例においても,硬膜切開後の髄液排出,自重に伴う脳変形は生じるので,それに対する補正を本モデルで可能と考える.しかし,占拠性病変摘出後の脳変形については,考慮しなければならない因子は多数であり,一つにパターン化することは容易ではないため、占拠性病変摘出を伴う手術においても術中CTのデータの蓄積を重ね,ナビゲーションシステムを用いた補正シュミレーションと検証を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在までの研究成果を論文作成発表に係る経費が初年度は予定よりもかからなかった。平成25年度には平成24年度には発表しなかった研究成果を追加で発表する為、平成24年度残金と、元来平成25年度分として請求していた助成金を併せた研究費が研究の継続および成果発表に不可欠である。
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Research Products
(4 results)