2012 Fiscal Year Research-status Report
多能性間葉系幹細胞へのBC-boxモチーフペプチド導入による神経分化機構の解明
Project/Area Number |
24659655
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
菅野 洋 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員准教授 (40244496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 典彦 東京工業大学, 学内共同利用施設等, 特任准教授 (80264654)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 多能性幹細胞 / 神経分化誘導 / BCボックスモチーフ / ペプチド |
Research Abstract |
研究代表者らは、最近elongin BCをリガンドとするBCボックス蛋白群が神経幹細胞のみならず多能性幹細胞の神経分化制御に関わっており、elongin BCと結合するアミノ酸配列であるBCボックスモチーフ構造[(A,P,S,T)LXXX (A,C) XXX(A,I,L,V)]が、神経分化ドメインであることを突き止めた。BCボックスモチーフ構造は、哺乳類の細胞のみならず、ウイルスにも認められることから、生物進化の過程において保存された重要な構造であると考えられる。BCボックス蛋白群は、elongin BCと結合するモチーフ(BC box motif)を持つことからそう呼ばれるが、転写因子Stat3を制御するSOCS-box群は、elongin BCと結合してSBC複合体を形成するとStat3あるいはStat5の発現を制御し多能性幹細胞を神経細胞へ分化誘導する。神経細胞には様々な種類があるが、BCボックスモチーフの構造異同により、分化する神経細胞の種類が異なり、分化誘導活性も異なる。今年度の本研究では、SOCS7およびSOCS4では幹細胞からChAT陽性のモーターニューロンへ分化誘導すること、TH陽性のドーパミンニューロンは、SOCS1-3,4,5, ASB3, WSB2, VHL由来のペプチドにより分化誘導されること、GABA陽性のニューロンは、主にSOCS5、VHL由来のペプチドにより分化誘導されること、グルタミン酸陽性のニューロンは、SOCS1,3,6,VHL由来のペプチドにより分化誘導されること、更にロドプシン陽性細胞は、主にSOCS5, VHL由来のペプチドにより分化誘導されることが判明したが、多能性幹細胞がどのようにして分化方向や分化誘導活性が決定されるのかについては、STAT3発現の抑制が関与していることが明らかにはなったが、それ以外は解明されていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BCボックスモチーフ構造をもつ蛋白質は数10種類あるが、そのうち代表的なものを用いて、まずはどのペプチドがどのような種類のニューロンを誘導するか、詳しく調べた。その結果、研究成果概要に関するような結果が得られ、ここまではほぼ順調に研究が経過していると考えられる。その分化誘導のメカニズムに共通することとして、STAT3の発現の抑制は明らかとなっているが、個々のペプチドで異なるニューロンが誘導されているかについては検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
BCボックスモチーフ構造を含むペプチドにより多能性幹細胞がニューロンに分化誘導されるが、BCボックスモチーフのアミノ酸構造の差違により誘導されるニューロンの種類が異なることは依然不明であり、今後この点を解明していゆく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は研究分担者への分担金が繰り越しになりましたが、 多能姓幹細胞を十分な量確保できなかったためFAX解析ができませんでした。 次年度は十分な量確保できる予定なのでFAX解析を行う予定です。
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