2013 Fiscal Year Research-status Report
多能性間葉系幹細胞へのBC-boxモチーフペプチド導入による神経分化機構の解明
Project/Area Number |
24659655
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
菅野 洋 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員准教授 (40244496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 典彦 鳥取大学, 農学部, 准教授 (80264654)
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Keywords | 多能性体性幹細胞 / 神経分化誘導 / 機能性ペプチド / 神経分化ドメイン / BCボックス蛋白 / 神経再生医療 |
Research Abstract |
研究代表者らは、最近elongin BCをリガンドとするBCボックス蛋白群が神経幹細胞のみならず多能性幹細胞の神経分化制御に関わっており、elongin BCと結合するアミノ酸配列であるBCボックスモチーフ構造[(A,P,S,T)LXXX (A,C) XXX(A,I,L,V)]が、神経分化ドメインであることを突き止めた。BCボックスモチーフ構造は、哺乳類の細胞のみならず、ウイルスにも認められることから、生物進化の過程において保存された重要な構造であると考えられる。BCボックス蛋白群は、elongin BCと結合するモチーフ(BC box motif)を持つことからそう呼ばれ、神経細胞には様々な種類があって、BCボックスモチーフの構造異同により、分化する神経細胞の種類が異なり、分化誘導活性も異なる。今年度の本研究では、SOCS7およびSOCS4では幹細胞からChAT陽性のモーターニューロンへ分化誘導すること、TH陽性のドーパミンニューロンは、SOCS1-3,4,5, ASB3, WSB2, VHL由来のペプチドにより分化誘導されること、GABA陽性のニューロンは、主にSOCS5、VHL由来のペプチドにより分化誘導されること、グルタミン酸陽性のニューロンは、SOCS1,3,6,VHL由来のペプチドにより分化誘導されること、更にロドプシン陽性細胞は、主にSOCS5, VHL由来のペプチドにより分化誘導されることが判明した。多能性幹細胞がどのようにして分化方向や分化誘導活性が決定されるのかについては、ユビキチン/プロテアソーム系によるSTAT3発現の抑制が関与していることが明らかにはなり、また最近の研究成果でプロモーターアレイ解析により種々のBCボックス蛋白が分化誘導される種々のニューロンの特異的蛋白の遺伝子プロモーターに直接関わることが明らかになってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究の目的」の中で掲げた研究の目標に対しておおむね順調に経過している。多能性幹細胞がどのようにして分化方向や分化誘導活性が決定されるのかについては、STAT3発現の抑制が関与していることが明らかにはなり、また最近の研究成果でBCボックス蛋白が分化誘導される種々のニューロン特異的な蛋白の遺伝子プロモーターに直接関わることが明らかになってきたのは大きな成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
プロモーターアレイ解析により種々のBCボックス蛋白が分化誘導される種々のニューロンの特異的蛋白の遺伝子プロモーターに直接関わることが明らかになってきたので、次に実際にBCボックス蛋白の神経分化ドメインが種々のニューロンの特異的蛋白の遺伝子プロモーターを介して種々のニューロンへの分化を誘導するかを確認する必要があると考えられ、この方向と研究を推進してゆく。また、STAT3抑制はSTAT3のユビキチン/プロテアソーム系による分解が示唆されるので、これを証明する。これらの明らかになったメカニズムを多能性体性幹細胞を用いた神経再生医療に応用する。
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