2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24659656
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
渡辺 英寿 自治医科大学, 医学部, 教授 (50150272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇賀 美奈子 自治医科大学, 医学部, ポスト・ドクター (40624789)
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Keywords | トランスレーショナルリサーチ / ミニブタ標準脳 / ニューロナビゲーション |
Research Abstract |
今年度は、(1)脳特徴点の抽出ための脳薄切標本作成と脳特徴点の検証(2)MRI画像とCT画像の撮影とデータ処理(3)撮影済みのMRI・CT画像からの特徴点の抽出、を実施した。 (1)標準脳の検証を行ううえでMRI画像からミニブタの脳の特徴点抽出を実施していたが、公開されているミニブタの脳アトラスが無い状態で、MRIの空間解像度では解剖学的な特徴点の確定が難しいことが判明した。解剖学的な特徴点の特定のため10%中性緩衝ホルマリンで灌流固定したミニブタの脳の薄切染色標本を作成することとした。脳全体の3次元構造の特徴点を特定することが目的であるため、ミニブタの全脳の標本を作製する必要があったが、ミニブタの脳は長径が10cm程度あり、既存の機器で薄切染色標本を作ることが難しい。そのため、作業用機器の準備と薄切プロトコル・染色プロトコルの試行を行い、手順を確立したうえで標本を作製することになった。標本作成プロトコルはおおむね確立したが、脳の形状を確認できる標本は作製できなかったため、特徴点を検証するための得られたデータは一部のみである。 (2)MRIデータと薄切染色標本との空間配置の整合性をとるため灌流固定した脳に座標確定用マーカーを設置し、MRIとCTの撮影を実施した。薄切染色標本はMRIデータと比較できるように順次デジタルカメラでデジタル化する作業を実施中である。標準脳を作成するためのマーカーも合わせて骨表面に埋設してあり、標準脳の作成のために生存状態で撮影したMRI・CTデータともデータの整合をとれるようにした。 (3)既に取得済みMRI・CTデータからの特徴点の座標値の抽出を実施している。脳の特徴点は未確定な点もあるため、主にCTデータからの骨の特徴点の抽出を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミニブタの標準脳を作成するためにMRIデータに脳の基準点を設定する必要がある。しかし、現状では公開されているミニブタの脳アトラスが存在せず、MRIの撮影データだけでは脳の特徴点の確定が難しいことが分かった。そのため脳の薄切・染色標本を作製し解剖学的な特徴点を確認したうえで、MRI上の特徴点の確定を行うことが必要であった。脳の解剖学的な特徴点を確認するための薄切標本を作製するにあたって、全脳の薄切標本を作製する必要があったが、ミニブタの脳は長径が10cm程度あり、規格品のスライドガラス、染色器具では標本を作製することができなかった。そのため特注の薄切用ステージ、染色機器を用意し、作業方法を確立する必要があった。さらにMRI画像と参照・照合するために染色した標本のデジタル画像化も必要となった。 マーカーを入れた標本のMRI、CTの画像は、撮影済みのものについては特徴点の抽出を実施しているが、薄切染色標本による特徴点が確定するまでは新規の撮影を保留している。 脳の特徴点の抽出のため薄切染色標本の検討が必要になったが、今後の作業で進捗の遅れに対処可能であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.特徴点の分析:脳の特徴点は人の標準脳作成手法で用いられる点に加えヒト脳との形態の違いを反映した点を抽出する。薄切染色標本から解剖学的特徴を踏まえて抽出した脳の特徴点をMRIデータに反映し、MRI画像とCT画像の合成画像からその座標値を計測する。計測した特徴点について個体差による分布の程度を検証し、特徴点選定の妥当性を検討する。 2.標準脳データの作成と検証:ヒト脳の標準化手法を基に豚の脳への適用方法を検証する。解剖学的構造により原点および基本座標軸を決定し、脳の形状と特徴点を基にアフィン変換を行う。この方法によって複数の脳を整形の上合成し、標準脳を作成する。 3.標準脳検証:MRI画像とCT画像から作成した合成頭部データの標準化と検証を引き続き行う。 4.データ追加:追加データとしてMRI、CT撮影を実施する。これらについても順次前述の処理を行い、標準脳の精度向上に努める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
標準脳データの検証を行う上で脳の基準点を決定する必要があったが、公開されているミニブタの脳アトラスが無い状態でMRIの空間解像度では特徴点の特定が難しいことが分かった。そのため、薄切染色標本を作製し脳の解剖学的特徴点を検証することが必要となった。前年度に麻酔下でMRI・CTデータを撮影したミニブタを対象に、灌流固定と固定後のMRI・CT撮影および標本作成を実施した。特徴点の選択によってはマーカーの設置位置や撮影方法の変更が必要になる可能性があったため、本年度予定していた新規の個体によるMRI・CTデータの取得を延期した。これにより、追加データの取得にかかわる諸費用を翌年度に繰り越すことになった。 ミニブタの脳の薄切染色標本を基に脳の基準点を確立したうえで、延期していたMRIとCTの撮影を実施する予定であり、その動物購入費及び実験施設の利用料・撮影費用に充当する。撮影対象の動物数は取得したデータの精度を確認しながら実験施設と打ち合わせのうえ調整する。
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