2013 Fiscal Year Annual Research Report
変形性関節症治療を目指した軟骨基質分解酵素誘導因子の網羅的解析
Project/Area Number |
24659663
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
乾 洋 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60583119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 英也 東京大学, 医学部附属病院, 臨床登録医 (30436464)
武冨 修治 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70570018)
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Keywords | 関節病学 |
Research Abstract |
軟骨基質分解酵素は、変形性関節症の進行に深く関わっており、軟骨基質分解酵素をノックアウトしたマウスでは、変形性関節症の進行を抑制できることが知られている。そのため、軟骨基質分解酵素が変形性関節症の治療標的になりうると期待されたが、その阻害剤は筋骨格系への副作用のため、創薬に至らなかった。本研究では、軟骨基質分解酵素を誘導因子を同定し、変形性関節症の治療標的になりうるかを目的とした。まず、軟骨基質分解酵素の中でも、ADAMTS5に着目し、ADAMTS5の発現誘導を促進する因子の網羅的解析を行った。ADAMTS5のプロモーター領域で種間で保存されている領域を抽出し、そのプロモーター領域に結合配列をもつ転写因子群とともに、ルシフェラーゼアッセイを行い、一つの転写因子がADAMTS5を強く誘導することを見いだした。プロモーター解析の結果、この転写因子がADAMTS5の1カ所に結合し、転写誘導しうることを示した。さらに、in vitroにおいて、この転写因子を欠失したマウス関節軟骨細胞では、炎症性刺激によるADAMTS5の発現が抑制されていること、さらにマウス大腿骨頭を用いたex vivoの系においても、炎症性刺激に対する軟骨基質の分解は、この転写因子を欠失によって完全に抑制されており、蛋白レベルでも発現抑制されていた。以上から、この転写因子を関節軟骨特異的にノックアウトしたマウスを用いて、実験的変形性関節症モデルの解析を行った。驚くべきことに、予想に反して、この転写因子の欠失により、変形性関節症の進行は促進した。そのメカニズムを解析したところ、この転写因子の欠失によって、軟骨細胞のアポトーシスが亢進していることがわかった。今後は、適度なシグナルの抑制をするために、この遺伝子に関わる上流因子の阻害剤などを用いた解析を行い、治療標的になりうるか否かを検討していく予定である。
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