2012 Fiscal Year Research-status Report
新規分子ZNF449の軟骨と間葉系組織における機能解析
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24659664
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西田 匡宏 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40622741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
乾 洋 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60583119)
齋藤 琢 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (30456107)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 軟骨細胞 |
Research Abstract |
まずマウス各臓器におけるZfp449の発現解析を行った。8週齢のC57B6Jマウスから組織パネルを自作し、リアルタイムPCRでmRNAの発現量を調査すると間葉系由来の組織、特に筋肉、骨、軟骨などに発現が多く見られた。続いて胎生17.5日のマウス脛骨近位成長板に自作抗体を用いて免疫組織染色を行い、四肢での発現解析を行った。広範囲に発現が認められが、特に前肥大細胞層から肥大細胞層にかけ強かった。よって四肢の発生ならびに成長に強く関与していることが示唆され解析をin vitroの解析を進めた。 in vitroの実験ではまず細胞免疫染色を行い、核内に存在することを確認した。またプロモーター解析によりDNAと結合することを確認し、転写因子であることがわかった。次にATDC5の分化誘導系を用いて各分化段階での機能解析を行った。レトロウィルスを用いてshRNAを安定導入した細胞株を作製し、インスリンで分化誘導をかけたところ、後期の分化誘導は促進され、Zfp449 は軟骨分化において抑制的な作用があることが示唆された。またルシフェラーゼアッセーではIhh, Pthr1を強く活性化することがわかり、これらの遺伝子との関連性を今後調査していく予定である。 コンディショナルノックアウトマウスを作製するためにFloxマウスを作製中である。ターゲティングベクターを自作し、現在injectionの段階で、F0の誕生を待っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
shRNA作製に難渋したため、cDNAマイクロアレーへの検体提出が遅れているが、それ以外の実験は概ね予定通り進行中である。 発現解析は自作組織パネルがうまく作製でき、良い結果が得られたと考えている。特に我々が興味を持っている運動器、特に軟骨での発現が確認されたため、当初の目的を果たすべく、実験を進めている。成長板での発現解析は免疫組織染色を行うために抗体選択に苦労し、結局自作抗体の作製を行った。現在も、市販されている抗体を使用し、さらに品質の良いものを選別中である。 in vitroの実験はレトロウィルスのshRNA安定導入に難渋したが、現在は安定した細胞株の作製に成功している。現在までは抑制系を中心に解析を行っていたが、強制発現系の作製を現在行っている最中である。現在作成中の物はタンパクの発現量が少なく、発現ペクターを変更し、安定した系の確立に努めている。またマウス由来の細胞だけでなく、ヒト由来の細胞株を用いた実験を現在行っており、こちらも遺伝子導入の効率を高めるような工夫を行っている。プロモーター解析では活性の高かった遺伝子の絞り込みは比較的順調に行えたため、今後in vivoで同様の結果が再現されるか楽しみである。 ターゲティングベクターの作製は時間を要してしまったが、現在F0の誕生を待っている。誕生し次第、成長発達を行う計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はin vitroの解析を進めると共に、in vivoの解析を中心に行う予定である。 In vitroではcDNAマイクロアレー解析を行うとともにクロマチン免疫沈降-シーケンシング法(ChIP-seq)によって結合するゲノム領域を調べ、結合部位がクロマチンなのか塩基配列なのかを解析し、cDNAマイクロアレイの結果と照合して標的とする遺伝子をさらに絞り込む。 In vivoではFloxマウスが誕生し次第、当初の予定通りCAG-Cre、Prx1-Cre、Col2a1-Creマウスと交配させ、それぞれ全身、間葉系組織、軟骨組織で特異的にZNF449をノックアウトして、解析を行う。胎児期を含めた成長曲線を調べるとともに、長管骨の長さ、頭蓋骨の形態などから内軟骨性骨化、膜性骨化の障害の有無をwhole mount stainingで解析する。免疫組織染色ではII 型コラーゲン、X 型コラーゲン、MMP13など分化マーカーをはじめ、PTHrP、Ihh、VEGFなどの抗体を用いて各分化段階に与える影響を検討する。またBrdUの取り込みを調べ、増殖能の解析も行う。さらに、マウスの成長板、関節軟骨、肋軟骨から細胞を採取し初代培養を行い、ex vivoにてその分化能、増殖能について詳細な定量的解析を行う。またCol1a1-CreマウスやMyoD-Creマウスなどを用いてそれぞれ骨、筋に特異的なノックアウトマウスを作出し、in vivoでの解析を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では遺伝子発現解析を相当量行う必要があり、mRNA 精製キット(RNeasy Kit, QIAGEN)、逆転写酵素(Multiscribe Reverse, ABI)、real-time PCR 用試薬(FastStart Universal SYBR GreenMaster Rox, Roche)、リポフェクション用試薬(FuGene6, Roche)、PCR用酵素(KOD plus, TOYOBO)、制限酵素類の修飾酵素(TAKARA, Rocheなど)、クローニング用試薬(Zeo-Blunt TOPO PCR Cloning Kit, Invitrogen)、ライゲーションキット(Rapid Ligation Kit,Roche)、制限酵素などの修飾酵素類(TAKARA, NEB, Roche など)、プラスミドDNA 精製キット(Miniprep Kit /HiSpeed Plasmid Midi Kit, QIAGEN)の他、高額なシークエンス試薬 (BigDye Terminator, ABI)やウェスタンブロッティング一式の試薬に100 万円以上要する。その他、細胞培養や大腸菌培養に用いる培地、培養液、各種消耗品などが相当量必要と見込まれる。 成果発表としては、国内では日本整形外科学会基礎学術集会、日本軟骨代謝学会の2学会を予定している。国外ではAmerican Society for Bone and Mineral Research (ASBMR), Osteoarthritis Research Society International (OARSI)の2 学会の学術集会での発表を予定している。
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