2012 Fiscal Year Research-status Report
膝前十字靭帯再建術における骨-腱間結合早期治癒に関する研究
Project/Area Number |
24659676
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
黒坂 昌弘 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70170115)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 知之 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (50546588)
松下 雄彦 神戸大学, 医学部附属病院, 特定助教 (40467650)
久保 晴司 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (30452494)
黒田 良祐 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80379362)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 再生医療 / 前十字靭帯 / スタチン |
Research Abstract |
本研究は、Statinを移植腱に局所徐放して骨新生と血管新生を促し、膝前十字靭帯再建術における早期に靭帯の再構築・骨-腱間結合治癒を実現することを目的としたものである。平成24年度にはまず、In vitroでStatinの至適濃度を評価するため、各濃度下での骨芽細胞・靭帯細胞の増殖能を評価した。日本白色家兎の骨芽細胞・靭帯細胞・骨髄細胞をsinvastatin 0, 0.1, 1, 10, 100umol/l各濃度下に培養すると、骨芽細胞・靭帯細胞・骨髄細胞ともに10umol/で増殖能が低下する傾向、100umol/lでの増殖能低下は顕著であった。生体吸収ハイドロゲルに内包し、局所徐放試験も完了し、その結果、in vivoでの損失も考慮して至適濃度をハイドロゲル1シート(1cm×1cm大)あたり250μgと決定した。 次にin vivoで日本白色家兎を用いた膝前十字靱帯再建術の確立を目指した。手術手技の工夫により再現性のあるモデル作成が可能となった。この前十字靭帯再建術モデルを用いて1)simvatatin含有ハイドロゲルを移植腱に挟む、2)コントロール群として、ハイドロゲルのみを移植腱に挟む、2群を設定して手術を行った。次年度でその有効性の評価を予定している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度には1.in vitroでのsinvastatin至適濃度決定、2.In vivo ACL再建術、であった。1に関しては「In vitroでStatinの至適濃度を評価するため、各濃度下での骨芽細胞・靭帯細胞の増殖能を評価する。まず日本白色家兎の骨芽細胞・靭帯細胞・骨髄細胞を分離し、sinvastatin 0, 0.1, 1, 10, 100umol/l各濃度下におけるproliferation assayおよびmigration assayを行う。これまでmouse骨芽細胞への評価は完了しており、その手法は確立されている。この結果をうけて、in vivoでのsinvastatin至適濃度を決定する。」と記載したように目的は達成された。2に関しては「次に、in vivoで移植実験を行う。手術は日本白色家兎をソムノペンチルの静脈麻酔により導入し、笑気、イソフルレン、酸素にて吸入麻酔による全身麻酔下で行う。関節切開により前十字靭帯を切除後、ハムストリング腱を使用した、膝前十字靱帯再建術を行う。ドリルにて大腿骨・脛骨に2.5mmの骨孔を作製し、骨孔内に移植腱を通して両端を4-0エチボンド糸を用いて骨膜に固定する。以下のグループに分けて実験を行う。1)simvatatin含有ハイドロゲルを移植腱に挟み、再建を完成させる。2)コントロール群として、ハイドロゲルのみを移植腱に挟み、再建を完成させる。simvatatin含有ハイドロゲルは、共同研究している京都大学再生医科学研究所 生体材料学分野 田畑研究所にて作製・提供を受ける。形状は1cm×1cm大のシート状で、決定された濃度のsimvastatinが内包され、3週間かけてハイドロゲルが生体吸収されながら局所徐放を行う。」と記載していたが、こちらも評価を残すのみとなっており、順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は前年度の成果、モデル動物の手術をうけて、その有効性評価を行う。予定通り、手術後、2,4,8週において骨-移植腱の固着状態を組織学的・力学的評価ならびにCTによる骨孔評価を行う。組織学的評価はH&E染色およびMovat Pentachrome染色にて骨-移植腱間の内軟骨性骨化、Sharpy fiberの評価を術後2週・4週・8週のタイムポイントにて行う。力学的評価は引っ張り試験(万能力学試験機、島津)での最大破断強度、力学特性の検査を術後8週にて行う。さらに、術後8週において骨形成の指標として骨孔径をmicro CTにて評価する。さらに術後2週・4週における組織標を用いて、オステオカルシンを用いた骨芽細胞・Isolectinを用いた血管内皮細胞の免疫組織染色を行い、単位面積当たりのosteoblast density、capillary densityを定量的に評価する。また、術後2週・4週の骨孔内組織よりRNAを抽出し、定量RT-PCR法により骨新生マーカー(osteocalcin, collagen 1A1, Runx2)、血管新生マーカー(CD31, VE-cadherin, VEGF)を評価する。 これらの評価法、抗体の有効性・手法はすでに予備実験において確認済である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
評価に必要な試薬・抗体・プライマーの購入、追加実験のための動物購入・飼育料に使用する。また成果の発表・調査旅費、論文投稿料と使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)