2013 Fiscal Year Annual Research Report
高度側弯形状に対する健常形状復元と三次元変形および左右非対称性の定量化手法の構築
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24659684
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
桐山 善守 慶應義塾大学, 医学部, 特任講師 (30383722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 守雄 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (40209656)
渡邉 航太 慶應義塾大学, 医学部, 特任講師 (60317170)
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Keywords | 脊椎側弯症 / 薄板スプライン / 変形評価 / 左右非対称性 |
Research Abstract |
高度脊椎側弯症の外科的治療では,治療後であっても胸郭全体としては依然として強度の左右非対称性が残存するため,胸郭を含む脊椎形状の左右対称性の定量化手法が必要とされていた.しかしながら,脊椎および肋骨形状は3次元的で不均一な変形分布を示しており,平面的な断層画像診断では定量的で精密な評価は困難であった. そこで本研究は,高度脊椎側弯症における幾何学的に厳密な左右非対称性の定量化手法の構築を行った.具体的には,まず,対象となる側弯形状を直方格子で覆い,各格子点の移動に伴い内部の側弯形状を薄板スプライン法で変形した.あらかじめ抽出しておいた「正中矢状面に存在すべき特徴点」と「左右対称となるべき特徴点」の矢状面からの位置,方向を評価関数とした.さらに,不適切な変形を抑制するために,各格子形状の変形ひずみが最小となることも評価関数に加えた.数値最適化により評価関数を最小とする格子点を探索した.次に,得られた復元形状に改めて直方格子を当てはめ,内部の復元形状と元の側弯形状の特徴点が一致するように薄板スプライン法にて周囲の直方格子を変形した.この変形した直方格子は,入力とした側弯形状を表しており,直方格子を基準としてゆがんだ格子形状の空間ひずみを評価した.本研究では,Green-Lagrangeひずみを用いて評価したところ,入力した側弯形状においては,頂椎では縦方向の圧縮ひずみが,そのすぐ下部では伸張ひずみが生じており,頂椎を挟んで凹側と凸側とでは左右方向の圧縮・伸張ひずみおよびせん断ひずみの正負が逆転していた.横断面においては,頂椎の後方で前後方向への引っ張りひずみが,頂椎と肋骨で囲まれた空間は正のせん断ひずみが生じていた. 以上のことより,本研究では個体差まで含めた3次元的な変形分布を定量化でき,複数の骨によって構成される複雑な変形疾患を定量化可能な新たな評価手法を開発できた.
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Research Products
(3 results)