2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24659685
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松尾 光一 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40229422)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 遺伝子 / 細胞・組織 / 発現制御 / メダカ / 骨芽細胞 |
Research Abstract |
メダカの骨芽細胞特異的Osterixプロモータの下流にマウスFra1-T2A-EGFPをつないだトランスジーンを作製し、マイクロインジェクションによりFra-1 メダカ (初代F0)を得た。その中からトランスジーンが生殖系列に移行する(第一世代 F1)メダカを得た。この中でEGFP の蛍光強度が比較的強いもの(つまりFra1の発現が高いもの)を選択し、野生型メダカと交配させF2を得た。同じ受精日および同じ孵化日のメダカを、対照群とFra-1 メダカで経時的に比較した。 【Fra-1 メダカの発現確認】Fra-1 メダカは、孵化し泳ぎだす前の受精卵の段階でGFP 陽性となった。すなわち、受精後3-4 日でEGFP 陽性卵が観察でき、受精後およそ8日後に孵化した。そこで、この孵化直後の対照メダカおよびFra-1 メダカを回収し、定量RT-PCR および、ウエスタンブロット法にてマウスFra-1 の発現を確認した。 【Fra-1 のメダカ骨格形態への影響の解析】全身性にFra-1 を発現するFra-1 マウスは、成長過程で進行性の骨形態異常を示す。そこで、メダカの骨をAlizarin complexoneを用いて生体染色し、メダカ骨格の形態学的異常の有無を探索したところ、形態異常は認められず、石灰化の低下が観察された。そこで小動物用マイクロCT 装置を用いて、メダカの全身の骨格を撮像したところ、形態学的異常がないこと、石灰化が低下していることが確認された。 以上のデータから、メダカにおいて骨芽細胞特異的にFra-1を強制発現すると骨の石灰化が低下することが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Fra-1トランスジェニックメダカの作出ができたことで、順調に進展していると言える。また、低石灰化という表現形質も、さらに解析する余地があるものの、alizarin染色とマイクロCTの両方で確認されたことから、研究を先に進める基盤ができたと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、石灰化の低下という表現形質を、発生段階において、von Kossa 法でカルシウムを染色するなどして、組織学的にも証明する。また、電子顕微鏡を用いて、石灰化の過程を解像度を上げて解析するなどして、現象論として精度の高い記述ができるようにする。 その上で、遺伝子発現の解析を行い、石灰化低下のメカニズムを明らかにする。matrix Gla protein(MGP)は、石灰化の阻害因子であり、この発現が上昇している可能性がある(Eferl et al, 2008, EMBO J)。この既存の考え方を超えられるかどうか検討する。 骨芽細胞特異的Fra-1の強制発現を、メダカに加えてマウスで行い、骨の表現形質を比較解析できないかどうかを検討したい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果であり、翌年度の組織学的解析における特殊染色(von Kossa染色など)や電子顕微鏡による解析を行うために経費を使用する。 さらに遺伝子発現の解析を定量RT-PCRによって行う。メダカのマイクロアレイ(4x44K, Agilent)がカスタムアレイとして導入し、網羅的解析を行いたい。
|
Research Products
(1 results)
-
[Presentation] Transgenic expression of mouse Fra-1 in osteoblasts reduces bone mineralization in medaka fish.2012
Author(s)
Matsumoto, T., Takada, Y., Nakamura, T., Suematsu, M., Inohaya, K., Kudo, A., Shimizu, A., and Matsuo, K.
Organizer
第18回 小型魚類研究会
Place of Presentation
京都
Year and Date
20120922-20120923