2012 Fiscal Year Research-status Report
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24659702
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
杉浦 健之 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20295611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 清文 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70212462)
祖父江 和哉 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90264738)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | バイオマーカー |
Research Abstract |
バイオマーカーとは、血清や尿などの体液および組織に含まれる生体由来の物質で、生体内の生物学的変化を定量的に把握するための指標となるものであり、疾病の診断や効率的な治療法の確立が可能となる。神経障害性痛の診断では、患者の訴える症状に加え、補助的に神経伝導速度の測定など電気生理学検査やサーモグラフィーなどの生理機能検査を行うが、検体検査などで病態が診断できるバイオマーカーは、まだ研究が全く進められていないのが現状である。近年、質量分析器に代表される解析技術の進歩により、血液などの体液中に分泌される疾患関連タンパク質を網羅的に探索することが可能になってきた。動物モデルを用いて、神経障害性痛における特異的なバイオマーカーを新たに探索することを本研究の目的とし、末梢性神経障害性痛の診断及び治療効果判定に用いることができる検査として、基礎から臨床への橋渡しとなる研究として期待される。本研究では、痛みを引き起こす神経障害が加わった時に生体の反応として特定のタンパク質、ペプチド、脂質などが増加したり、あるいは減少したりするのではないか?と考え、この仮説の検証を行っている。 神経障害性痛のモデル動物には、坐骨神経を結紮するCCI(chronic constriction injury)モデルのラットを使用する予定であったが、研究の発展性を期待して、マウスを用いた実験モデルの作成に変更している。今後、ノックアウトマウスを使用した研究への展開が期待される。また、CCI(chronic constriction injury)モデルは、運動神経障害が強く出たため、坐骨神経の部分結紮モデルに変更している。行動実験により、痛みの経過を観察し、血液サンプルと髄液サンプルの採取を行ったが、髄液サンプルの採取が困難な状況を克服中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新たな手技や実験方法を確立する必要があるので、(希望的な)予定通りには進んでいない。現在までに、複数の種類の神経障害病態モデルの作成は成功し、血液サンプル採取は順調に行われている。しかし、マウスから必要量の髄液採取が不完全な状況であり、さらなる工夫が必要な状況である。サンプル採取後に引き続き行う予定である試料の調整と分析条件の最適化は、かなりの時間がかかることが当初から予定されており、まだ始められていない。 平成25年度は、試料の調整と分析条件の最適化を本格的に取り組む予定である。ターゲットになる可能性のある蛋白質の分離・抽出には、まず二次元電気泳動を行い、標的タンパク質としてゲルとともに切り出す必要がある。続いて、ゲル内消化とペプチド抽出をおこない、質量分析まで行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究では、①前年度に完成していない髄液採取の方法確立、②サンプル試料を用いて二次元電気泳動を行い、続いて、ゲル内消化とペプチド抽出をおこなうこと、③質量分析、を行う予定である。髄液採取に関しては、マウスをあきらめラットを試料として考えるか、頭位固定により開頭手術を考慮する。電位泳動とペプチド抽出は問題なくできると考えている。質量分析の試料の調製を行うが、試料量や前処理を含む分析プロトコールについては有意差や目標がみえてくるようになるまで試行錯誤が必要であり、多くの時間が費やされると考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する予定の研究費が生じた状況は、実験動物の使用が予想よりも少なかったために生じたものであり、次年度早々には執行予定である。次年度の研究費は、当初予定したとおりに執行予定である。大型機器の購入予定はなく、消耗品の購入が多くを占めると考えられる。なお、旅費に関しては、現在学会発表できる状況ではないので、情報収集や討論のための出張に使用することになると思われる。
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