2013 Fiscal Year Research-status Report
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24659702
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
杉浦 健之 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20295611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 清文 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70212462)
祖父江 和哉 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90264738)
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Keywords | バイオマーカー / 疼痛病態モデル |
Research Abstract |
これまでに、複数の種類の疼痛病態モデルを作成し、行動実験により痛覚過敏を確認している。カラニゲンを用いた炎症モデル、足底に切開を行う術後痛モデル、坐骨神経結紮によるCCIモデルを作成した。行動実験としては安静時における自発痛様行動が増加すること、ホットプレートを用いて温熱刺激を与えた時の逃避時間の短縮、フォンフライヘアーも用いて機械刺激に対する閾値の低下を確認している。 検体サンプルとして、ラット・マウスに麻酔後、脊髄、後根神経節の神経系を採取できている。髄液採取には血液が混入してしまい、研究に十分な検体採取ができていない。神経や髄液、血液以外の候補として、唾液が有望な検体となる可能性があり、これを確認している。 サンプル採取後の試料の調整と分析条件の最適化はまだ始められていないが、最適な検体を決めて行う必要がある。液体クロマトグラフ質量分析を使用して研究している同僚にアドバイスをもらい研究をすすめ始めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度は、最適な検体を採取したのち試料の調整と分析条件の最適化について取り組みを行ってきた。ターゲットになる可能性のある蛋白質の分離・抽出には、まず二次元電気泳動を行い、標的タンパク質としてゲルと共に切り出す必要がある。続いて、ゲル内消化とペプチド抽出をおこない、質量分析し、未知のバイオマーカーを見つけるというスケジュールで研究を進めている。 カラニゲンを用いた炎症モデル、足底に切開を行う術後痛モデル、坐骨神経結紮によるCCIモデルを作成し、行動実験としては安静時における自発痛様行動が増加すること、ホットプレートを用いて温熱刺激を与えた時の逃避時間の短縮、フォンフライエアーも用いて機械刺激に対する閾値の低下を確認できており、モデル作成は問題なく達成できている。 検体サンプルとして、ラット・マウスに麻酔後、脊髄、後根神経節の神経系を採取できている。髄液採取には血液が混入してしまい、研究に十分な検体採取ができていない。神経や髄液、血液以外の候補として、唾液が有望な検体となる可能性があり、これを確認している。髄液を除けば、検体の最適化は、かなり達成できている。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度の研究では、①最適な検体を決定し、検体採取の方法確立すること、②サンプル試料を用いて二次元電気泳動を行い、ゲル内消化とペプチド抽出をおこなうこと、③様々な条件を試みて、質量分析を行う予定である。疼痛時のバイオマーカーを測定するにあたり、ストレス因子も関与することが十分考えられる。ストレスの研究ではコルチゾルやノルエピネフリンが測定され、内分泌や自律神経・交感神経の興奮を表すバイオマーカーとして確立されている。これまでには検体として採用していなかったが、唾液が有効な検体となる可能性があり、最適な検体を決定するために検討の必要がある。唾液の検体は、採血や髄液採取のような侵襲的な処置を必要とせず、臨床応用した場合に、患者の苦痛が少なく便利である。またアミラーゼの測定には時間がかからず、比較的安価に測定でき、計器の携帯性もある利点ある。メラトニンやコルチゾル、一部の免疫グロブリンも測定でき、痛みに重要な内分泌・免疫・自律神経のバランスとのか関わりが見つけられるかもしれない。 一方、未知のバイオマーカーの発見も行いたい。安定した検体が採取できれば電位泳動とペプチド抽出を行った後に質量分析を行うが、条件決めは複雑で困難が予想される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する予定の研究費が生じた状況は、最適な検体採取の問題で手間取ったため研究の進行を止めたことに起因する。 次年度早々には、唾液のバイオマーカーを測定する装置の購入に当てることを考えている。使用環境に影響されず、迅速に交感神経の活動レベルを測定するために、唾液アミラーゼ活性を測定するモニタが市販されているので、これを採用する予定である。次年度の研究費は、当初予定したとおりに執行予定である。大型機器の購入予定はなく、本年度に動物の使用が少なかった分、次年度は消耗品の購入が多くを占める予定である。なお、旅費に関しては、学会発表できる状況になった場合には必要となるが、データの集積状況と発表時期の関係もあり、具体的な学会が現時点では設定できていない。情報収集や討論のための出張に使用することも考えられる。
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