2014 Fiscal Year Annual Research Report
長期記憶形成におけるアストロサイト代謝の役割と麻酔薬作用の分子科学的機序の解明
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24659703
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
木下 浩之 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70291490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成田 年 星薬科大学, 薬学部, 教授 (40318613)
畠山 登 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70251907)
中畑 克俊 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (70332971)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 揮発性麻酔薬 / 脳 / 驚愕反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
背景)記憶の機序の詳細は未だ明らかでない。その機序として、海馬での長期増強現象のほかF-アクチン構成の増強も、記憶形成を示唆することが近年明らかにされた。しかし、恐怖記憶と海馬でのF-アクチン構成との連関は明らかでない。本研究は、若年成体マウスへのセボフルラン暴露が恐怖記憶を惹起するか、さらに海馬でのF-アクチンの構成が恐怖記憶形成と相関するかを明らかにすることを目的とした。生後4週の雄若年成体マウスに2.5%セボフルランを空気 (2 L/min) をキャリアにし自発呼吸下に3時間吸入させた(セボフルラン群)。コントロール群では2 L/min空気のみ吸入させた。これらマウスに対し、生後8週で驚愕反応検査を行った。すなわち、仕切られた明室―暗室付属の装置で、1日目に馴化させ、2日目に暗室侵入までの時間(獲得時間)測定と暗室侵入直後の電気刺激を施行した。ついで、3日目に暗室侵入までの時間(保続時間)を測定した。上記検査終了後、頸椎損傷でマウスを安楽死させた。灌流固定後に脳を摘出し、海馬を用いてF-アクチンの免疫染色を行った。(結果)獲得時間に両群の差はなかったが、セボフルラン投与群で保続時間は有意に延長した。海馬でのF-アクチン輝度はセボフルラン群で有意に高値を示した。(結論)若年成体マウスへの臨床使用濃度内のセボフルラン吸入は、恐怖記憶定着に加え海馬でのF-アクチン構成を増強する。本研究結果は、本研究で検討したマウス週齢に相当するヒト個体で、セボフルラン吸入が、恐怖記憶構築、すなわち、心的外傷後ストレス障害を引き起こす可能性を示唆するものと考えられる。
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Research Products
(2 results)