2013 Fiscal Year Annual Research Report
エクソーム解析の応用による悪性高熱症の新規原因遺伝子の同定
Project/Area Number |
24659704
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
的場 奈々 埼玉医科大学, 医学部, 研究員 (80622969)
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Keywords | 悪性高熱症 / エクソーム解析 |
Research Abstract |
悪性高熱症は、揮発性吸入麻酔等の使用により、骨格筋のカルシウム調節の異常を介して発症する遺伝性の疾患である。50%以上の患者が骨格筋筋小胞体の1型リアノジン受容体をコードするRYR1に、2-3%の患者がCACNA1S遺伝子に病的変異をもつとされる。これまでに染色体上計6領域が本症の感受性領域として同定されている。 日本においては、2006年にカルシウム誘導性カルシウム放出速度測定診断(=CICR、悪性高熱症の日本における診断方法)で陽性となった58名を対象としてRYR1全エクソンダイレクトシーケンシングがなされた。 本研究は、上記の解析で病的な変異を認めなかった症例のうち、家族サンプル、および各個人のCICR結果が入手可能な5家系についてエクソーム解析を行い、新規の原因遺伝子を同定することを目的としている。 既知の悪性高熱症感受性領域、カルシウムシグナル経路に関わる遺伝子、RYR1、CACNA1Sと類似の発現パターンを示す遺伝子をリスト化し、効率的な探索を試みた。 申請時に記載した家系について、平成24度までの解析で本症との関連が疑われる変異を同定した。この変異に関して、収集したその他3家系の発端者についてサンガー法により配列確認を行ったが同一変異は認めなかった。 平成25年度に公開された日本人エクソームデータベースにおいては頻度0.01の割合で存在した。悪性高熱症は、トリガーとなる物質に暴露されるか、CICR等の診断を受けない限り、保因者の見極めが難しい。そこで、原因変異となりうるか機能確認のため、該当遺伝子のcDNAに変異を導入し、電気生理学的解析を行っているところである。その他3家系についてはこれまでに有力な候補は同定されていない。診断基準に用いたCICRの解釈方法やターゲット遺伝子の再設定、多因子疾患の可能性も視野に入れて解析方法の改良を行っているところである。
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